「納期が間に合わない」20年ぶりの新紙幣発行まで1か月 券売機めぐって業者も店舗も困惑

実に20年ぶりに変わる新しい紙幣の発行まであと1か月を切りました。新たなデザインの紙幣を楽しみにしている方もいらっしゃると思いますが、その一方で、対応に追われるあの業界からは、悲鳴の声が上がっています。

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いよいよ、7月3日から発行が始まる新紙幣。1万円札には日本近代社会の創造者と呼ばれる「渋沢栄一」、五千円札には、女性の地位向上と女子教育に尽力した「津田梅子」、そして千円札には近代日本医学の父「北里柴三郎」がそれぞれ描かれています。

新紙幣の発行で忙しいのが、券売機を扱う会社です。

<トラスト 山本伊織社長>
「こちらが新紙幣に対応した券売機で、順次準備をさせて頂いている。現行のお札と新しいお札とどちらも使える券売機になっておりまして、開けるとですね、新紙幣のユニットになるんですけれど、新紙幣対応というシールが貼ってあるものになりますので、こちらを順次準備させていただいている」

静岡市の「トラスト」では、すでに例年と同じくらいの券売機が注文され、最終的にその数は倍近くになるのでは、とみています。過去にも類を見ない大量注文で、入荷が間に合わず、通常ひと月ほどで届くものが半年待ちの状況だといいます。

<トラスト 山本伊織社長>
「やはり納期が間に合わないというところが今一番の問題とありまして、お客様にも大変迷惑をかけている状態なのかなと」

一方、券売機を買い替える側もより大きな負担となっています。

<用宗みなと温泉 渡辺孝太館長>
「券売機はこちらに入浴のものが2台と、奥に食堂の券売機が1台あります」

静岡市の用宗みなと温泉では2024年4月に新紙幣対応の券売機を発注しましたが、7月3日までには間に合いませんでした。

<用宗みなと温泉 渡辺孝太館長>
「導入はもう8月くらいの予定です。旧紙幣がある程度流通している時期かとは思うので、お客様と両替をしたりとか、そういった対応はしなければいけないかと」

用宗みなと温泉では、光熱費の高騰で2023年12月に料金を値上げしたばかりで、これ以上客の負担を増やせず、1台200万円もする券売機のすべての入れ替えはあまりにも大きな出費です。

<用宗みなと温泉 渡辺孝太館長>
「このタイミングでかなり物価高も激しい中で、かなりのコストをかけなければいけないのは、正直かなりしんどいというかきついところですね」
Qここが踏ん張りどころと?
「はい、そうですね」

<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
静岡県の商業振興課によりますと現在、新紙幣発行に伴う券売機購入の補助金制度はありませんが、要望が多い場合には導入を検討していくということです。

ちなみに、新しい紙幣がいつ手元に来るのか気になる人もいるかと思いますが、静岡銀行によりますと7月4日から店舗の窓口などで交換してもらうことができる予定です。

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