弘前大学と自動車大手のマツダ(本社広島県府中町)が今春、運転サポート技術などの開発に向けた共同研究講座を開設した。運転時の注意の払い方などを調べて、弘大が持つ健康ビッグデータと組み合わせ、初心者から高齢者まで誰でも快適に運転できる技術の実現に結びつける。弘大と自動車大手との共同講座は初。10日に弘前市の弘大医学部基礎校舎で開設式を行った。
共同講座では、マツダが弘大の「岩木健康増進プロジェクト健診(岩木健診)」に参加し、運転時の注意力や危険予知、空間認識能力などを測定。同健診が20年間、毎年1千人から集めた「運動・認知能力」「社会環境」「生活習慣」など3千項目の健康関連データと対比させることで、運転手のさまざまな状態に対応できるサポート技術の開発につなげる。
マツダの技術研究所の本田正徳統括研究長は「例えば高齢ドライバーに、夜間の雨で見えにくくなった車線の位置を示し、不安なく運転できるようになる技術を開発したい」と説明する。
講座は2027年3月までの3年間。弘大側7人、マツダ側15人の計22人体制で、マツダの研究者1人が弘大に常駐する。
マツダの今田道宏執行役員(総合制御システム開発担当)は開設式で、運転手の異常を検知するシステムではわずかな変化を正確に把握する技術が必要-と強調。「本当に必要な時に作動し『おもてなし』と言われるくらいの機能に仕上げたい」と意気込みを語った。
弘大大学院医学研究科長の石橋恭之教授は「岩木健診のビッグデータ活用はメタボ改善などの取り組みが多かった。マツダが加わることで、より日常生活と密接に関係した研究になる」と期待した。