保育士の女、わずかな時間で犯行か 容疑者が最初に止血救護、担任クラス児童に擦り傷や切り傷多発 鹿児島市・認定こども園殺人未遂

説明会を実施する認定こども園に入っていく保護者ら=9日、鹿児島市

 男児の首を切り付けたとして、殺人未遂容疑で逮捕された保育士の女(21)が勤務する鹿児島市の認定こども園の代理人弁護士は9日、男児は園庭で遊んだ後、教室に戻るわずかな時間に玄関先で切り付けられた可能性があると明らかにした。同日あった保護者説明会後、取材に答えた。男児は同園の園児だと公表し、弁護士や医師らから成る調査委員会を立ち上げる方針を示した。

 弁護士によると、7日午前、男児の泣き声に気づいた別の保育士が、首の出血を確認した。当時、容疑者を含む5人の職員が5人以上の園児をみていた。容疑者は、最初に止血するなど男児の救護に当たった。

 9日の保護者説明会では理事長らが謝罪し、経緯を説明。保護者からは再発防止策に関する質問や、職員と子どもらの心身面を心配する声が上がった。調査委員会は、事実調査や原因究明、再発防止に当たる。弁護士によると、容疑者のクラスでは擦り傷や切り傷のある園児が多かったとして、関連も調べる。

 鹿児島南署は9日、殺人未遂の疑いで、容疑者を鹿児島地検に送検した。

 園によると容疑者は2月から勤務し、4月から担任を務めていた。男児を受け持っていたかは明らかにされていない。職員からは「真面目」との評価がある。

 容疑者は県内の高校を卒業。同校は10日、南日本新聞の取材に「授業態度は良く優しい生徒だった。友人関係でもトラブルはなかった」と回答した。

 卒業後、2023年4月に県内の医療機関に就職。医療機関の責任者によると、病棟や保育施設で子どもの世話をし、勤務態度に問題はなかった。体調を崩し12月末で退職した。

 容疑者と同級生だった男性(21)は「暴力を振るう姿は想像できない」。知人男性(22)は「控えめでおとなしい性格」と話した。

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