衝撃…命奪われた〝更生の伴走者〟 「担い手いなくなる」「自宅以外の面接場所必要」県内の保護司ら懸念

〈資料写真〉2023年12月、法務大臣表彰を受けた保護司ら=鹿児島市のかごしま県民交流センター

 大津市で男性保護司を殺害した容疑で男が再逮捕された事件に、鹿児島県内の保護司らは衝撃を受けた。関係者からは10日、「担い手がいなくなる」と影響を懸念するとともに、自宅以外の面接場所の確保といった支援体制を求める声が聞かれた。

 県内には4月1日現在、864人の保護司がいる。指宿保護区の幸野昌廣保護司会長(71)は「対象者とは毎月会う。早く立ち直らせたいという気持ちが強かったのでは」と事件の被害者をおもんぱかる。肝属保護区保護司会の堀内貴志事務局長(64)は「危険を感じて辞める人が出るのではないか。若い世代で保護司を引き受けてくれる人もいなくなる」と心配した。

 鹿児島市で20年近く保護司をする男性(74)は、公民館など公共施設で面接をするが「夜間は使えないこともある。更生保護サポートセンターも市内に1カ所しかない。面接できる環境を整えてほしい」と訴えた。元保護司の岩元明彦さん(81)=同市=は、対象者とのコミュニケーションの取り方次第で危険な場面を避けられる可能性があるとして「保護司への研修を増やすなどの対応が必要だ」と提案した。

 保護観察者を受け入れる協力雇用主会の松下正行さん(70)=霧島市=は「怖いイメージもあったが、受け入れてみると心配なかった。それだけに今回の事件はショック」と声を落とす。「職に就けば再犯率は下がる。保護司から協力雇用主へという流れが滞ってしまわないか」と危惧した。

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