「唐突で疑問」「目標失われる」 全中縮小、県内関係者ら困惑

 日本中学校体育連盟(日本中体連)が2027年度からの全国中学校体育大会(全中)の大幅な規模縮小に踏み切ることを受け、福島県内の競技関係者や子どもたち、保護者に驚きや困惑が広がっている。全中がなくなる水泳やハンドボールなど9競技に励む子どもたちは「目標だった一つの大会がなくなるのはつらい」と複雑な心境を明かした。

 「競技に関わる現場や子どもたちの意見をしっかり聞いた上で、協議した結論なのかというと唐突で疑問が残る」。県水泳連盟の壱岐ひろみ会長(72)は、教員の多忙化解消に理解を示しつつ、こう強調する。水泳は部活動の設置割合が少ない一方で競技人口は多いとし「他競技と比べて不公平感がある。子どもの活躍の場が失われないように議論する必要がある」と語った。

 県ハンドボール協会の遠藤均会長(61)は「中学生が目標とする大会が失われるのは残念だ」と思いを口にし「競技人口の減少につながらないように代替大会も含め、小中学生が競技を続けられる環境を整えていくことが重要だ」と話した。

 対象競技に取り組む子どもたちや保護者は当惑の表情を浮かべる。水泳で全中出場を目指す県北地方の中学1年の男子生徒は、小学生の弟らも水泳をしており「全中に出場する選手に憧れて練習してきた。目標とする舞台が一つなくなるのはモチベーションにも影響する」と思いを募らせた。

 保護者らは「学校代表として出る全中は、先生や友達に活躍を知ってもらえる機会になっていた。選手ファーストで(運営を)考えてもらいたい」と訴えた。

 県中体連の田中信次理事長は「地区大会や県大会の開催などの対応は今後協議していく」と説明した。

 福島大人間発達文化学類の蓮沼哲哉准教授は「今後、トップを目指す生徒と趣味のようにスポーツを楽しみたい生徒がはっきりしていくだろう」とみる。「代わりになる大会の開催など各競技団体が担う役割は大きくなり、どちらの生徒に対しても活躍や活動ができる場をつくらなければならなくなる」と展望した。

 ほかの対象競技は体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スキー、スケート、アイスホッケー。開催地との契約があり、スキーは29年度まで実施する方針。

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