『第1回 日本ロケ弁大賞』大賞はスノ佐久間も推すカレー 「1000円の壁」も元テレ朝Pが明かすロケ弁裏事情

大賞はSnow Man佐久間大介も「好き」公言の欧風カレー ※画像は「オーベルジーヌ四谷」の公式インスタグラム『@aubergine428』より

放送直前の編集作業や長時間の番組撮影――。連日連夜、長時間労働が続くのはテレビ業界だ。テレビ画面の向こう側で、ヘトヘトになりながら番組制作に勤しむスタッフたち。そんなスタッフたちのエネルギーの源となり、仕事を頑張れるモチベーションアップのアイテムでもあるのが、ロケ現場や撮影現場でスタッフへと手渡されるお弁当、通称・ロケ弁だ。

「6月10日はロケ弁の日として、『第1回 日本ロケ弁大賞』が発表されました。大賞に輝いたのはSnow Manの佐久間大介さん(31)やKinKiKidsの堂本剛さん(45)といった人気タレントも“好き”を公言している、東京・四谷に本店があるオーベルジーヌのビーフカレー(1296円・税込・以下同)でしたね」(スポーツ紙記者)

この結果に「そうなるでしょうね」と、審査結果に納得の表情を浮かべるのは、元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏だ。

「ロケ弁を選ぶ際は、誰を基準にお弁当選びをするのかというのが非常に大事になります。出演者の方を基準にするのか、撮影を行なうカメラマンや照明さんといった“肉体労働”を行なう技術さんを基準にするのか。

カレーを選んでおけば、まず誰からも文句が出ない。“これじゃ足りない”と言う人もいませんし、“カレーは食べられません”なんて人もまずいません。オーベルジーヌのカレーはロケ弁選びの鉄板です」(鎮目氏)

しかし、そうはいっても弁当選び。『日本ロケ弁大賞』が開催されるほど、なぜテレビ業界は、そこまで“弁当”に真剣なのか。

「しょせんは弁当選びでしょ、と皆さんは思うかもしれません。しかし、弁当選びのセンスが悪いと、ご飯の後の時間からカメラマンさんや美術さんの動きが目に見えて落ちるんです。それは暑い中や寒い中、1日中カメラを担いで歩き回るわけですから疲れますよ。テレビ番組制作はチームプレー。スタッフの方に一生懸命働いてもらうためにも、番組プロデューサーは弁当選びにも神経を使います」(前同)

■テレビ業界に存在するロケ弁1000円の壁

テレビ番組の制作現場で、自身も弁当選びに神経をすり減らしてきたという前出の鎮目氏。そんな鎮目氏が「最高のロケ弁の1つ」と絶賛するのは『第1回 日本ロケ弁大賞』で大賞に次ぐ金賞を受賞した、とんかつまい泉の『ヒレかつサンド』(453円)だ。

「サンドイッチですので、ポケットに入れて持ち運べる。かつ、忙しくても食べやすい。僕も幾度となく注文をさせていただきました」(鎮目氏)

また現在、テレビ業界を襲う視聴率不振も、まい泉人気に拍車をかけているようだ。

「テレビ業界も視聴率が下がり、現在では番組予算も右肩下がりに。番組にもよりますが、1000円の壁というのがロケ弁には存在します。ロケ弁に1000円超えの予算を出してくれる番組は限られる。そうなると、手頃で購入しやすいお弁当の人気が高まるというわけです」(前同)

ロケ弁に割く予算が高くなるのは、どのような番組になるのだろうか。

「ドラマですね。撮影時間が長いですから、1日に2〜3回ロケ弁を食べることも珍しくない。そうなると現場の士気を上げるためにもロケ弁に割く予算も高くなりがちです。こういった現場では、番組の視聴率が良ければ、すき焼きで知られる今半の高級弁当が出ることもありますね」(同)

浅草今半の牛肉重(1728円)はテレビ局でも大人気 撮影/編集部

一方で、なかにはスタッフ泣かせの困ったタレントさんもいるそうだ。

「さる大物タレントの方はロケ弁へのこだわりはありませんでしたが、控え室にフルーツ盛りがないと怒っていましたね。他にも大物司会者の方の中には、高級お魚弁当にしか箸をつけないという人も。お店に注文を断られることも多かったのですが、スタッフが拝み倒して毎回1つだけ死守していました」(同)

たかが弁当、されど弁当。テレビ番組の裏側には、ロケ弁当にまつわるいくつものドラマがあるようだ。

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