市川團十郎、5年前の休演時は「満身創痍」 6歳だった長男・新之助の姿に「頼もしかった」

取材会に出席した市川團十郎【写真:ENCOUNT編集部】

休演しないための健康維持は「早く寝るしかない」

歌舞伎俳優の市川團十郎が11日、都内で行われた「歌舞伎座『七月大歌舞伎』昼の部『星合世十三團』」の取材会に出席。2019年7月の同作の休演時について振り返った。

同作は、2019年7月に当時海老蔵だった團十郎が初演。古典歌舞伎の三代名作のひとつ『義経千本桜』のドラマ性に焦点をあて、娯楽性の富んだ演出や新たな趣向、宙乗り、大立廻りなどを取り入れ、源平の時代に生きた人間たちの運命と修羅を描いた物語。今回、7月の歌舞伎座公演の昼の部で再演する。

團十郎は、『義経千本桜』でおなじみの左大臣藤原朝方、卿の君、川越太郎、武蔵坊弁慶、渡海屋銀平=実は新中納言知盛、入江丹蔵、主馬小金吾、いがみの権太、鮨屋弥左衛門、弥助=実は三位中将維盛、佐藤忠信、佐藤忠信=実は源九郎狐、横川覚範=実は能登守教経の13役を演じる。舞踊ではなく演目で主要13役を演じるのは過去に例がない。

19年の初演時は、急性咽頭(いんとう)炎で4日間休演している。「前回は満身創痍(まんしんそうい)で大変でしたね。喉にアデノウイルスが付着しちゃって、なんにもできなくなっちゃった」と振り返った。

しかし休演中、当時6歳で堀越勸玄を名乗っていた長男・市川新之助の姿に感動したという。「私は家で点滴打っていたんですけど、『今日はパパの鏡台を使う』って。『使ってるんです、若旦那。ぼっちゃんが』って(報告を受けた)。僕の部屋で化粧をして、僕のつもりで出て行ったそうなんです」と、息子の姿に驚いた様子を明かした。「みんなそれを見て『感動したんです』って話をされて。すごく頼もしいなと思うと同時に、申し訳ないなと思いながら、その時の彼の姿が忘れられないです」と懐かしんだ。

また、「自分がやらせていただく役は代役がきかないことも多いので、(今回は)休演しないようにしたい」と語ると、「早く寝るしかないですね」と健康管理のポイントを挙げた。「日頃から結構、健康管理はかなりしっかりと、『これ以上ない』ってとこまでやってますから。これを維持することが難しい」と語ると、「お寿司や焼き肉も食べたくなるけど、興行中は食べられるラインのものを食べる。“毎日同じことをすること”の難しさですね」と、日頃の節制を続けていると明かした。「でも、(健康維持は)早く寝るしかない」と、改めて睡眠の大切さを強調した。ENCOUNT編集部

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