存続望む声多く…今月末閉業の「銭湯」が事業者募集へ【長野・塩尻市】

今月限りでの閉業を決めた塩尻市の老舗銭湯が「跡を継ぐ」事業者の公募を始めました。
きっかけは存続を望む住民の声でした。

塩尻市の「桑の湯」。1929年創業、一世紀近く続く老舗銭湯です。
4代目の桑澤弘幸さん(53)。今月いっぱいでの閉業を発表したのは3月のことでした。

■桑の湯4代目・桑沢弘幸さん
「日々の営業が出来そうにない。助けてもらっても、ここが限度かなという思いで決めました」

薪で焚く風呂。開店の4時間前から準備が始まります。閉店後も風呂場の掃除などをこなすため、日付けが変わってから眠りにつく日々を過ごしています。

■母・節代さん
「いつかは閉じる日がくるかなと思っていたのでね」

母・節代さん(80)と親子2人で切り盛りしてきました。

■桑の湯4代目・桑沢弘幸さん
「準備とか掃除とか体力的にもうもたない感じ。限界です」

銭湯の利用客も年々減少しています。苦境を打開しようと、地元の高校生と協力し創業以来初めて入浴回数券を作ったり、これまで置いていなかった牛乳の販売を始めたりしましたが、客足回復とはなりませんでした。

■桑の湯4代目・桑沢弘幸さん
「お客様一人でも多く来てもらいたいなと思って色んな努力はしてきました」

市内唯一の銭湯として地域に愛されてきた桑の湯。

■近所の住民(70代)
「この近所の人は皆行っているから。夏場ざぶっとね入りたいよね」

■近所の住民(60代)
「皆さん楽しんでお風呂に来てたので続けて頂ければいいんですけどね」

利用客から寄せられる存続を望む多くの声を受け、方針を転換します。3日から銭湯の跡を継ぐ事業者の募集を始めました。
「桑の湯」の名称は継続してもらい、8月中には事業者を決める考えです。

■桑の湯4代目・桑沢弘幸さん
「入浴施設とコミュニティの場所として残して頂ければ、僕が駄目になっても他の人が銭湯の文化を継いでくれればそれが一番うれしい」

地域の社交場としての役割も担う老舗銭湯。「跡継ぎ」が現れるその日を待っています。

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