「分からない」が多く、会話が成り立たない子の対応方法は?サポートの例をご紹介!【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

「分からない」が多く、会話が成り立たない

おしゃべりはできるはずなのに、質問したとき「分からない」「知らない」といった反応しかなく、まじめに答えていないように見えます。

例えば、こんな状況

保育者が「今日は保育園、楽しかった?」と聞いても、口ごもってしまうEちゃん。「知らなーい」とだけ答えて、黙ってしまいました。

あなたならどうする?

1.「あと5 秒で答えてね、5、4……」とカウントダウンする

2.「折り紙とパズル、どっちが楽しかった?」と聞いてみる

【解説】おすすめは2!

答えが返ってこない理由としては、緊張している、言葉が思い付かない、表現力が未熟など、いくつか考えられます。いずれにしても、急かさずに少し待ってみるのが保育者としての基本的な姿勢。明らかにふざけているような場合はともかく、子どもを焦らせることが改善に結び付く可能性は低いでしょう。

考えられる背景

「先生は、私に何を聞いているんだろう?」

少しでも抽象的な質問になると、理解が難しくなる子は多いもの。何を聞かれているか、はっきり分かっていないのかもしれません。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

もっと「答えやすい質問」に変えてみよう

より具体的な質問にすることで、答えるハードルを低くしましょう。

例えば、「保育園は楽しかった?」よりも「どの遊びが楽しかった?」の方が、さらには「折り紙とパズルのどっちが楽しかった?」と二者択一にした方が、答えやすくなります。それでも難しい場合は、イラストや写真、保育者の手などを用いて、さし示すことで答えられるようにするのも有効です。

考えられる背景

「あ、おともだちがブロックで遊んでる!私もやりたいなぁ」

着替えようという気持ちで動き出したけれど、ほかに気になる刺激が入ってきたことで、そちらに気を取られてしまったのかもしれません。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

その子の好きなテーマで表現力アップ

自分の意見や気持ちを表現する機会を、意識的に増やしましょう。頭の中でイメージしづらいようなら、実物やイラスト、写真などを見せながら、どれが好きか聞いてみるのもおすすめの方法。

特に、その子が好きなテーマ(特定のキャラクターや乗り物など)を選んで、保育者が会話のパイプ役を担い複数の子を交えて話をすることで、気持ちの表現が広がりやすくなります。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

・この中で、どれをやってみたい?

・〇〇と△△、好きなのはどっち?

・楽しい気持ちだね

・みんなで話すと楽しいね

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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