視覚障害乗り越え柔道1級に合格 全盲に近い高根沢の荒川さん 若い世代と稽古「楽しい」

視覚に障害を抱えながら柔道に励む荒川さん

 【高根沢】光をかすかに判別できる程度で全盲に近い宝積寺、介護施設勤務荒川健太(あらかわけんた)さん(37)が柔道1級に合格した。柔道を始めて1年。町柔道スポーツ少年団に所属して鍛錬している荒川さんは「体力と技術力アップが課題だが、長く続けて行きたい」と話している。

 幼少期から視力が悪かった荒川さんは、20代後半に症状がさらに悪化。現在は視覚障害1級となっている。日中は、介護施設で高齢者のリハビリや機能訓練、マッサージなどの業務を行っている。

 柔道には以前から興味があったという。「視覚障害者は運動不足になりがちなので体力をつけたい」との思いも後押しし、受け入れてもらえる道場を探し求めた。最終的に町教委から、町柔道スポーツ少年団を紹介された。

 同少年団は東小と北高根沢中に隣接する町武道館が拠点。未就学児から高校生まで約40人が所属し毎夜、練習に励む。北高根沢中柔道部が廃部になったことも含め、そのサポート的な役割も担っている。荒川さんの入会について指導者の船橋仁和(ふなばしよしかず)さん(67)=平田は「コミュニケーションが取れるし、何の問題もなかった」と、受け入れを快諾した。

 有段者と組手を行う荒川さんは「受け身や技、体の向きなど一つ一つ時間をかけて覚えていく必要がある。体力面も含めてかなりハード」。一方で、けがや筋肉痛が日常的ながらも「若い世代からエネルギーをもらえるので楽しい」と笑顔を見せた。

 柔道を始めて約半年後の昨年11月、矢板市内の武道場で挑戦した昇級試験では、健常者相手に勝利して1級を取得した。「まずは継続することが大切だと思っている」という荒川さん。「体力を考えると段位取得は厳しいかも知れないが、機会があれば挑戦したい」と意欲的だ。

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