自宅マンションで父親を複数回刺して殺害した息子 法廷で「間違いない」と認める 母親が包丁2本隠すも残った1本で犯行 弁護側「幼少期から生きづらさ」事件に関係と主張

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 昨年6月、埼玉県さいたま市南区の住宅で同居する父親=当時(60)=を包丁で殺害したとして、殺人罪に問われた無職の男(29)の裁判員裁判の初公判が11日、さいたま地裁(室橋雅仁裁判長)で開かれた。男は「間違いないです」と起訴内容を認めた。

 冒頭陳述で検察側は、男に軽度の知的障害があり、就労を巡って両親に反発していたと説明。事件当日、男との口論により母親が「もう一緒に住めない」と出て行き、父親が障害者枠での就労を勧めたことに怒って、犯行に及んだと指摘した。

 証拠調べでは、検察官が母親の調書を読み上げ、「約1年前も父親を『やって(殺して)やろうと思った』と言うので、包丁2本を隠した。1本残した包丁で事件が起きてしまった」と振り返り、「夫は子煩悩で、息子をないがしろにしたり、厳しすぎると思ったことはない。最愛の夫が大切な息子に殺され、悲しみと後悔、憎しみがある」などと述べた。

 弁護側は男が障害により幼少期から生きづらさを感じてきたことが事件に関係していると主張した。

 起訴状などによると、男は昨年6月10日、さいたま市南区のマンションで、同居する父親の胸などを包丁で複数回刺して殺害したとされる。

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