郷土の偉人の魅力 生き生きと 八賢人おもてなし隊 観客10万人突破

累計観客数が10万人を突破し、記念撮影する出演者と観客=佐賀市の佐賀城本丸歴史館

 幕末・明治維新期の佐賀の歴史の魅力を寸劇で紹介する「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」が、佐賀市の佐賀城本丸歴史館で開催している公演の累計観客数が9日、10万人に達した。史実を基にしたオリジナル劇を毎週日曜に上演し続け12年。歴史館を訪れた県内外の観光客や歴史ファンに、佐賀が誇る偉人たちの人物像を生き生きと伝えている。

 2012年9月から毎週日曜に1日5回、鍋島直正や大隈重信らが登場する寸劇を無料で上演している。当初は敷地内の屋外で演じていたが、約半年後に館内に会場を移した。作品数はスタート時の数作品ほどから26作品まで増え、今も新作に取り組んでいるという。

 10万人に達した2968回目は、日本赤十字社を創設した佐野常民らが登場する「良いではないか。」を上演。10万人目となった熊本県大津町の原野亨さん(68)は「歴史がそんなに好きじゃなかったけど、寸劇は楽しかった。もっと大きなステージでやってもいいくらい」と喜んだ。

 観客は1日平均100人ほど。明治維新150年を記念して18、19年に開催された「肥前さが幕末維新博覧会」の期間中や正月は、1日250人もの観客を楽しませた。一方、コロナ禍では3カ月弱休演し、透明のスクリーンで演者と観客の空間を分けて再開した。観客が2、3人しかいない回も経験し、試行錯誤をしながら上演を続けてきた。

 佐野役を10年務める鷹巣将弥さん(28)=佐賀市=は「たくさんのお客さまに来ていただいたことが感慨深い」と振り返り、メンバーは「もっと多くの人に長く楽しんでもらえるよう、『一緒にやってみたい』という仲間を募り、後継者の育成にも取り組みたい」。節目を経て、活動継続への思いを強くしている。(川﨑久美子)

観客数が10万人を突破した回では、江藤新平(手前)、佐野常民(右)らが登場する「良いではないか。」を上演した

© 株式会社佐賀新聞社