デジタル人材 高校から育成 「SEIRENKATA」初回は先人の技術学ぶ

志田林三郎の功績について高校生に話す梁井宏幸さん(左)=佐賀市の佐賀西高

 佐賀県内で活躍するデジタル人材や起業家の育成を目指し、県教育委員会と県内企業などが取り組む高校生向けのプログラム「SEIRENKATA」がスタートした。県内19の高校から1年生100人が参加し、初回は「地元学」として、多久市出身で日本の電気工学の礎を築いた志田林三郎(1855~92年)の功績を学んだ。

 幕末佐賀藩の研究開発拠点「精煉方(せいれんかた)」から名付けたプログラムは、県内各地の拠点高など7会場で11月まで、週1回開かれる。初回は4日から始まり、佐賀西高(佐賀市)での5日の講座には同高や佐賀学園高などの1年生15人が参加した。

 ビジネスセミナーなどを行う「やない考房」(福岡市)代表の梁井宏幸さんらが講師を務めた。梁井さんは、志田が電気学会の創設を唱え、無線通信など現在実用化されている技術を予見したことを紹介。志田にとって大きかった母親の存在にも触れ、「誰かのことを思った行動は頑張れる。常に誰かのためを心がけてほしい」と求めた。

 佐賀学園高1年の横尾至俊(ゆきとし)さんは「未来を予測していた志田のように、先を見据えた行動を意識したい」と感想を話した。

 今後は半導体の仕組みを塗り絵から学んだり、半導体集積回路を開発したりするほか、メタバース空間で地域開発を考えるなど実践的な学びに取り組む。12月には成果発表会やデジタル技術を競う大会を予定している。(坂本有佐)

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