「これ全米オープンだった」 星野陸也、“ド緊張”の復帰後初ラウンドのお相手は…

星野陸也が復帰戦を迎える 練習ラウンドではビッグネームが一緒…(撮影:ALBA)

<全米オープン 事前情報◇11日◇パインハースト・リゾートNo.2(米ノースカロライナ州)◇7548ヤード・パー70>

星野陸也が戦いの場に戻ってきた。凱旋試合を予定していた日欧共催大会「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」の直前に、肺から空気がもれる気胸と診断されて入院。退院後は1カ月ほどを休養に充てて、今週は復帰戦を迎える。「試合が始まるのがすごく楽しみ」と、ワクワクの気持ちで胸がいっぱいだ。

クラブを握ったのは約2週間前のこと。10日(月)にアウト9ホールを回ったが、この練習ラウンドすら、復帰後初めてでおよそ2カ月ぶりのことだった。しかも同組で回ったのは、全米チャンピオンに2度輝いているブルックス・ケプカ(米国)。その途中には、ショートゲームのみをプレーしていた“無双”の世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)も合流した。

「久々なのに緊張するじゃん…みたいな。でもすごく楽しかったし、いいイメージをもらえた」。休養明け直後の練習では「体の動かし方と脳があまりつながっていない感じ」と感覚が鈍っていたが、渡米直前にきっかけをつかんだ。それは徐々に研ぎ澄まされ、調子も右肩上がり。「フェードが打ちやすくなったような気がします」と笑う。

このコースは全米ゴルフ協会(USGA)のお膝元でもあるパインハーストNo.2。「ラウンドをしていて、あれ? こんな難しかったっけと思ったら、これ全米オープンだった」。フェアウェイ両サイドのネイティブエリアに惑わされそうだが、「自分を信じて打つことが大事かな」と、復帰初戦からしっかりと振り抜いていくことを意識する。

世界一決定戦は2年ぶり4度目の出場。主戦場とするDPワールド(欧州)ツアーのポイントランキング上位者の資格で出場権を得た。序盤2位だった順位は現在4位となったが、「まだ(上位に)残ってたんだ、よく耐えていたなっていうのが大きい」と、初優勝を含む前半戦の好成績にうなずく。

そして今大会終了後には、世界ランキングに基づき、パリ五輪の代表選手が決まる。2枠を争う選考レースでは一時は2番手につけてリードしていたが、休養中にじわりと順位は下がり、中島啓太、久常涼に続いて4番手としている。東京五輪に続く2大会連続出場に向けて、滑り込みでの一発逆転も目指している。

自身の体調を鑑みながら、全米から連戦を再開していく予定。状況を踏まえながら「KLMオープン」(オランダ)の出場可否を考え、「イタリアンオープン」で完全復帰を図る。「ヨーロッパのご飯も食べたくなってきたんです」。全米から復帰ロードを突き進む。(文・笠井あかり)

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