“182センチの小柄”でも――強さと巧さが光る上田綺世の頭の中「高さは海外でも通用する」「190の相手に対して胸トラップとか」

森保一監督が率いる日本代表は6月11日、北中米ワールドカップ・アジア2次予選の最終節で、シリア代表とエディオンピースウイング広島で対戦。全く危なげなく5-0で大勝し、無傷の6連勝を達成した。

ゴールラッシュの口火を切ったのは、頼れるCF上田綺世(フェイエノールト)だ。開始13分、中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)のクロスに打点の高いヘッドで反応。豪快に、力強くゴールに叩き込んだ。

昨夏にベルギーのサークル・ブルージュからオランダ屈指の名門に移籍した25歳は、先制点を挙げて以降も、巧みなターンからのシュートなどで見せ場を創出。2点目こそ奪えなかったものの、スタンドとの距離がかなり近い新スタジアムで、背番号9の風格を漂わせた。

「別に僕みたいにジャンプが高くなくてもヘディングで点は取れるし、小さい選手でもポジショニングやタイミングが合えば点は取れる」

試合後、そう胸を張った上田は、フェイエノールト1年目にも言及。最終盤まで定位置を掴めず、オランダリーグでの先発は5試合に留まったシーズンをこう振り返った。

【PHOTO】日本代表のシリア戦出場16選手&監督の採点・寸評。3人が7点の高評価。MOMは2点に関与した左WB
「試合に出られないなかで、どうやって存在意義を示すかを、1年間ずっと考えてトライしてきました。やっぱり高さの部分は海外でも通用するし...ベルギーでも自分が海外に来て何が通用して、何が通用しないのかってところで、高さは通用する感覚がありました。僕は向こうでは小さい方かもしれないですけど、高さは別にアドバンテージにならないところを表現できたら、1つ武器になるのかなと思っていたので」

冷静な自己分析も光る182センチのストライカーは、武器を徹底的に究めつつ、貪欲に高みを目ざし続けている。

「向こうでは190センチの相手に対して逆に胸トラップしに行くとか、それ以上のことを自分の中で求めてやっています。もちろん、全然失敗することもあるんですけど、他の選手にはできない部分じゃないですか。自分の信頼や価値に繋がるのであればいいのかなと。この1年間そこはやってきたので、空中戦は自信がありますけど、まだまだもっとできることがいっぱいあると思っています」

柔よく剛を制す――。強さと巧さを兼ね備える上田は、代表と所属クラブで、誰もが認める絶対エースとなれるか。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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