山下智久『ブルーモーメント』は『コード・ブルー』になれず 出口夏希らの成長を描けなかった詰め込み過ぎの悲劇

山下智久(C)ピンズバNEWS

山下智久(39)主演の連続ドラマ『ブルーモーメント』(フジテレビ系/水曜よる10時)の第8話が、6月12日に放送される。5日放送の第7話の平均世帯視聴率は、6.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と及第点の数字を残しているが、8%台だった放送開始当初の勢いは失われてしまった。

同ドラマは、小沢かな氏の同名コミック(KADOKAWA)が原作で、晴原柑九朗(はるはら・かんくろう/山下)らSDM(特別災害対策本部)が、気象災害によって脅かされる人命の救助に立ち向かう物語。山下は5年ぶりの民放ドラマ主演で、大ヒットした『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(同局系)に続こうとしたが、難しくなってきた。

第7話は、 上野香澄(平岩紙/44)は晴原に、自分は5年前の関東南部豪雨の時、晴原の亡き婚約者・園部灯(本田翼/31)と一緒にいたこと。上の階に逃げるようにという、灯の指示通りに行動した人たちは、皆助かっていたことを打ち明ける。無線でその話を聞いていた園部優吾(水上恒司/25)は、なぜ灯が危険を冒してまで、その場を離れたのか尋ねた。

上野が「あのとき、灯は……」と言いかけたが、それ以上は今は言わなくていいとし、「私を許しちゃいけない」と告げる。そして、灯への週刊誌の批判記事は、上野が知り合いを通して握り潰したと告白すると、自分はSDMから離れると明かした。そんな中、指揮車両にアラートが鳴り響く。海上竜巻に巻き込まれた気象観測船と漁船が接触事故を起こしていて……という展開。

晴原が上野を引き止め、現場へと一緒に向かうが、晴原を助けた上野が土石流に巻き込まれるという、衝撃のラストだった。X(旧ツイッター)上の反響は、《ツッコミどころが多すぎてもう何と言ったらいいのか…テーマを詰め込みすぎてぐちゃぐちゃ》《災害の映像が地味になったな…1、2話の雪山がピーク。あと雲田さん仕事してなさすぎじゃね》など、批判的な声が。

■『コード・ブルー』との違いは?

「気象予測を軸に災害救助、医療、さらに、灯(本田)の死という謎要素や、特命担当大臣・園部(舘ひろし/74)と総務大臣・立花(真矢ミキ/60)の政治的な駆け引きなど、内容を詰め込みすぎなんです。それもあって、SDMメンバーそれぞれのキャラが立っていない。これは、チームものとしては致命な問題です。

その点、『コード・ブルー』はメンバーそれぞれの成長が描かれ、そこが魅力になっていました。一方で『ブルーモーメント』は、晴原がメンバーと打ち解けたぐらいで、ほかの状況はあまり変わらない。さらに、バディのはずの雲田彩(出口夏希/22)は、なんの仕事をしているのかが、よく分からない。これでは『コード・ブルー』の次は狙えません」(ドラマライター/ヤマカワ)

主要メンバーの上野(平岩)が退場し、次回は灯の死の真相が描かれそうだ。物語の終盤戦に向かっているのに、1話からの伏線回収に長い尺を使う流れでは、『コード・ブルー』のような、チームものドラマは期待しないほうが良さそうだ。

とはいえ、SDMの提唱者でもある灯の死の真相が分かることで、チームの絆が強くなる可能性はある。また、雲田が気象予報士の試験に合格するらしく、ようやく晴原(山下)のバディとして活躍しそうだ。今後の『ブルーモーメント』ならではの盛り上がりに期待したい。

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