「一時的な不調にすぎない」「典型的な悪い例」カナダGPで入賞を逃した角田裕毅、専門メディアの採点は?

F1第9戦のカナダ・グランプリ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は4戦連続の入賞が期待されていたが、9番手で迎えたレース終盤、ターン9でコースアウトして芝生上をスピン。他車との接触は免れたものの、これでポイント圏内から脱落し、14位でチェッカーフラッグを受けることとなった。

予選ではQ1、Q2を上位のタイムでクリアし、Q3は突風を受けてタイムを失ったことには悔いを残すも、それでも8番グリッドをゲット。スタートで順位を落としたものの、レースではセーフティーカー出動時にステイする戦略が奏功して順位を回復するなど、今回も好パフォーマンスを発揮したが、ブレーキに若干問題を抱えていたとはいえ、安定感を誇っていた最近の彼には珍しいミスによって失意の結末を迎えている。

このようなレースウィークエンドの経緯から、各国の専門メディアの評価は分かれることに。英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』は10点満点の採点で及第点の「6」を与え、「ターン8で珍しいミスを犯し、ポイント圏内でフィニッシュするチャンスを逃した」と、彼のレースを簡潔に振り返った。

同国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、「レース前半の採点は8に近かったが、重大なミスにより評価が下がった。ライバルたちが新しいインターミディエイトタイヤに履き替える中、角田は30周ほど走ったタイヤでペースを維持したことで、自身のピットイン後には高順位でポイントを獲得するチャンスがあった。しかし残念ながら、この日本人ドライバーはターン7とターン8の間でミスを犯し、ポイント圏外に転落してしまった」と致命的なスピンを惜しんだが、採点は「6.5」となっている。

モータースポーツ専門サイト『Race Fans』は「4」と厳しいが、寸評では「チームが契約延長オプションを行使することを決めた週末、角田はチームメイトに対し、優れたドライバーとしてのパフォーマンスを見せつけた」とポジティブな面も挙げながら、以下のように続けた。

「インターミディエイトを長く持たせることに成功して幾つかのポジションを上げたが、レース終盤のスピンでその全てを台無しにした。彼よりもパフォーマンスの悪いドライバーもいたとはいえ、彼はポイントを獲得するべきだった。完走はしたものの、達成できたはずの結果を逃したことで、それに見合った評価を受けることとなった」
『MOTORSPORTWEEK』も採点は「5.5」止まりも、「最近では当たり前になった予選Q3進出で、角田は8番グリッドを獲得。この日本人ドライバーの最近のパフォーマンスは印象的で、今回もポイント圏内フィニッシュを達成すると思われたが、シケインでスピンして14位に終わった。ただ、彼のここまでの実績から見て、これは一時的な不調に過ぎないだろう」と、楽観的な見方だ。

『TOTAL MOTORSPORT』は、「予選ではQ3進出を果たし、チームから契約延長を勝ち取った理由を示したが、レースは彼にとっては珍しく、忘れたいものとなった。4戦連続でのポイント獲得を目指していたが、背後の長い車列のプレッシャーによってスピンしてしまった」と、こちらはネガティブな寸評となり、採点も「5」と及第点以下とした。
オランダのF1専門サイト『GPBLOG』も「4」という低採点を付与し、「ユウキはセルジオ・ペレスに代わってレッドブルのシートを得るに相応しいことを示すことができたはずだが、“カミカゼ”のような動きで車のコントロールを失い、チームにとって貴重なポイントも失った」と、残念なミスだったことを強調している。

『RN365』は、「来季の契約延長が決まるなど、良い週末を過ごしており、レースでも終盤までポイント圏内で順調に走っていた。しかし、ターン8でのブレーキングで勇みすぎ、そのチャンスを台無しにしてしまった。これは不注意なミスだった」とスピンの場面に言及したが、採点は「6」を与えた。

それを上回る「6.5」としたのは、スペインのF1専門サイト『F1i.com』で、寸評では彼の週末全体を総括し、「後になってみると、予選開始直前の契約延長発表は良くなかったのかもしれない。これは、ドライバーの注意力を散漫にさせたり、リズムを崩させたりしてしまう可能性があったからだ。彼はQ3に進出したが、ここで彼のチームメイトであり、プレッシャーのかかっていたダニエル・リカルドよりも遅いタイムに終わった」と綴り、決勝についても詳しく振り返っている。

「レースでは、角田は最初の2周でポジションを4つ落とした。その後、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の後ろに落ち着き、彼やアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)を追い続けた。最初のセーフティーカーが出動した際にはピットインを選ばず、インターミディエイトでの走行を長く維持したが、交換したスリックタイヤでは苦戦し、残りわずかのところでスピンを喫して9番手から落ちてしまった。なんとかレースには復帰したが、ポイント圏外に終わり、今季の角田にとっては珍しい失敗となった」
スポーツ専門サイトでは、『sportskeeda』が「5」という低採点以上に、寸評では「ユウキには、このようなミスを続けている余裕はない。これは、ドライバーがコントロールを失った典型的な悪い例だ。もしレッドブルの首脳陣が見ていたのなら、彼らは感心しなかったことだろう」と、今回紹介した中では最も厳しい記述である。
採点ではなく、ランキングで全ドライバーを評価している英国モータースポーツ専門サイト『THE RACE』でも、実際の順位を下回る「16位」。予選については「わずかながらリカルドより速いペースを示しているように見えたが、Q3のラストアタックではターン2でスナップしてタイムを失った」と綴り、こちらも彼のことを買っているがゆえの内容の寸評となった。

「決勝では、スタート時のインターミディエイトで長く走り、SC出動中にピットインしないことを選んだ戦略が成功し、8位を狙える位置に上昇した。しかし9番手につけていた終盤、彼自身が『バカなこと』と呼んだミスでスピンしてしまった。それは、現在の彼にしては珍しいことだった」

構成●THE DIGEST編集部

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