【西武】ついに連敗ストップ! 打線奮起の裏に2日がかりの〝ナベQ人情采配〟

西武・渡辺監督代行

西武が12日の広島戦(ベルーナ)で5―0と完勝した。先発・隅田知一郎投手(24)が99球で「マダックス」(100球未満での完封勝利)を達成。湿っていた打線も5回に長短6安打を集中し5得点を挙げ、2日から続いていた2度目の大型連敗を「8」で止めた。

キーポイントは前日11日に1―2で惜敗した試合中の「懲罰交代」。これを起爆剤へと昇華させた〝ナベQ采配〟にあった。同戦の4回に平凡な坂倉の三ゴロを元山が一塁へ悪送球。これを見たベンチの渡辺久信監督代行(58)は5回の守備から元山を下げ、佐藤龍に三塁手を交代させた。

その試合後に渡辺代行は「みんなエラーをしたいと思ってするわけじゃないんですけど、ああいうところで締めていかないといけないと思っての判断」と交代の意図を説明。そして、これは同代行が巧みに仕掛けた2日がかりの〝人情采配〟の過程でもあった。その「懲罰交代」を敢行した元山に早くもリベンジのチャンスを与え、これを意気に感じた本人がこの日、5回二死三塁から先制の中前適時打を放って5得点の口火を切った。

お立ち台で元山は「うまくいかないことが多いが、一人ひとりが熱い気持ちを持って準備してプレーしている。今日はそれが出せてよかった」。渡辺代行も「元山に賭けていた。気持ちで打ってくれたヒット。昨日はああいう形でエラーが出て締まらなかったので代えたが、今日は最初からスタメンで使うつもりでいた」と目を細めた。

8連敗中は打つ手、打つ手が失敗。だが自らの采配で打開策を見いだし、悪い流れをまずは切った。もちろん借金はまだ21ある。同代行は「1つ勝っただけでそんなに大手を振って喜べない」としながらも「この勝ちがどういういい流れにつながるか、また明日からやっていきたい」と勝ってカブトの緒を締めていた。

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