富山県黒部市内の企業でつくる黒部Uプロジェクト協議会(吉田忠裕代表)は13日から、宇奈月温泉の温泉水に入れた「温泉水ウナギ」のかば焼きや白焼きを飲食店向けに販売する。温泉水に入れることで余分な脂が落ちてさっぱりし、身が軟らかくなるという。「湯遊(ゆうゆう)うなぎ」と名付け、新たな名物にしたい考え。当面は市内の飲食店1軒でうな重が提供され、販路を広げていく。同協議会が12日発表した。
ウナギは調理前に真水に数日入れ、泥などを出させる「泥抜き」という作業がある。この間に温泉水に入れて価値を高められないかと、同協議会が2021年から県水産研究所と研究を始めた。冷ました温泉水に1週間ウナギを入れ、味や成分を確認。身が軟らかくなることなどが分かり、商品化に乗り出した。
湯遊うなぎは、愛知や静岡で養殖されたウナギを宇奈月温泉に運び、温泉水のケースに1週間入れてからかば焼きや白焼きに加工。冷凍して飲食店に卸す。湯にはユズも入れており、身はほのかにユズの風味がするという。今月末まで約千匹を出荷し、状況を見てさらに生産する。
13日からは、協議会メンバーの丸中水産が運営する飲食店「北洋の館」がランチでうな重を提供する。1食2600円。月内には同店内の売店で持ち帰り用のかば焼きも売り出す。1匹3980円。宇奈月温泉の旅館や市内の他の飲食店での提供も目指す。
同協議会メンバーの川端康夫黒部商工会議所会頭は「脂が落ち、さっぱりと味わえる。当面は市内で提供し、将来的には市外に卸すことも考える」と話した。