バドミントン 混合Dは東京大会銅メダル「ワタガシ」が2大会連続表彰台に現実味、男子単は新鋭を要チェック【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】

「ワタガシ」は2大会連続表彰台も(C)共同通信社

【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】バドミントン

【混合ダブルス、男子シングルス編】

前回2021年の東京五輪は「史上最強布陣」で臨み、男女とも全種目でのメダル獲得を目指しながら、混合ダブルスの渡辺、東野組の銅メダル1個と期待を裏切った。

日本代表を率いて5大会目となる朴柱奉ヘッドコーチ(59)は、代表メンバーが出場するシンガポールオープン、インドネシアオープンで結果を残して世界ランキングを上げ「しっかりシード権をもらって有利に試合ができるようにしたい。東京五輪のリベンジができるように」と、雪辱を期す。

スポーツライターの平野貴也氏に、バドミントンの行方を占ってもらった。

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■混合ダブルス

東京五輪の混合ダブルスで日本勢初の銅メダルを獲得した、世界ランク3位の渡辺勇大(26)、東野有紗(27)の「ワタガシ」ペアは「前回を上回る金メダル獲得」を目標に掲げる。

「ワタガシは前回と比べて横並びで得点できるようになった。特に東野は従来の守りだけでなく、低くて速いレシーブを返せるようになったことで、攻撃に転じるケースが増えました。以前までは渡辺が後ろからショットに強弱をつけて得点するパターンが多かったが、横並びの速い展開に持ち込んで東野も点を奪うなど、2人で得点できる形が増えた。相手や状況に応じた戦いができるようになり、増えた攻撃のバリエーションがうまくはまればメダル獲得が可能な位置につけています」

混合ダブルスは世界ランク1、2位の鄭思維・黄雅瓊、馮彥哲・黄東萍の中国勢2組とワタガシ以外にも5~6組がメダル争いに加わる実力を持っており、大混戦が予想される。番狂わせも十分、あり得るだけに油断は禁物だ。

■男子シングルス

代表を引退した元世界1位の桃田賢斗に代わって男子シングルスのエースに浮上したのが世界5位の奈良岡功大(22)。ジュニア時代から将来を嘱望され、22年に主要国際大会への出場が可能となるA代表に入った。国際舞台で着実に結果を残し、23年の世界選手権で準優勝した。

「奈良岡は『技術では誰にも負けていない』と本人も話す通り、世界有数のテクニックの持ち主。特にネット前に落とすヘアピンショットがうまく、その精度は世界屈指といわれた桃田をほうふつとさせる。男子シングルスは大柄でパワーのある選手が揃う中、奈良岡の細かい技術は際立っている。大会を勝ち抜くスタミナに不安はあるものの、ゲームカウント2-0のストレート勝ちが続けば、桃田も届かなかった日本男子シングルス初のメダル獲得に近い存在といえるでしょう」

12年ロンドン大会女子ダブルスの藤井瑞希、垣岩令佳組の銀を皮切りに16年リオ大会は高橋礼華、松友美佐紀組が金、東京大会は渡辺、東野組が銅と3大会連続でメダルを獲得。各種目で世界ランク上位に名を連ねる日本勢は伝統を紡げるか。(つづく)

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