「わかるかなぁ」(6月13日)

 懐かしい、と共感していただけるだろうか。本紙が連載する「昭和99年」。今月上旬、校則の数々を取り上げた。服装、髪型の指定を窮屈に感じていた方もきっと、おられよう▼40年ほど前を思い出す。男子の丸刈りは、中学に上がる「儀式」だった。制服は詰め襟。丈の短い学ランに、だぶついたズボンを身に着ける「やんちゃ」もいた。風紀が乱れているから指導が厳しいのか。決まりが細かいから、逆らう風潮が生まれるのか。当時の学[まな]び舎[や]は「鶏が先か卵が先か」の感がある▼荒れた季節と言われる。校内暴力が社会問題に。不良少女と家族の葛藤を描いた「積木くずし」がベストセラーになる。身近でけんかも起きた。美化するわけではないが、いがみ合った後に仲良くなることも。一番叱ってくれた先生が、一生の恩師になったとの話も尽きない。少々、乱暴とも映る振る舞いの中で真正面から相手と向き合い、進むべき道を懸命に探った時代なのかもしれない▼スマートな令和の若者の姿に、南相馬市で育った名漫談家の昭和のギャグが浮かぶ。そんな昔が「わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ」。懐かしいアフロヘアも、学校でならご法度だったろうか。<2024.6・13>

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