気をつけたい「細菌性食中毒」 二次汚染や加熱しても増える菌など厚労省が注意喚起

これからの時期は食中毒に注意が必要(写真はイメージ)【写真:写真AC】

気温や湿度が上がってくると、気をつけたいのが食中毒です。原因になる菌にはさまざまな種類があり、加熱しても十分な対策にならないことも。厚生労働省食品安全情報の公式X(ツイッター)アカウント(@Shokuhin_ANZEN)では、細菌性食中毒について紹介し、注意を呼びかけています。

◇ ◇ ◇

食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」

腹痛や下痢、嘔吐といった症状のほか、命の危険につながることもある食中毒。日頃から衛生に気を配り、食品の保存や加熱調理などに注意が必要です。とくに食品が傷みやすくなる梅雨から夏は、「気温も湿度も高くて細菌が増えやすい」と改めて注意喚起しています。

また、「家庭でできる食中毒予防について」詳しく解説した「食品安全note」では、「これから増える『細菌性食中毒』に気をつけて」というテーマで、食中毒予防の三原則について呼びかけています。

1. 細菌を食べ物に「つけない」
2. 食べ物に付着した細菌を「増やさない」
3. 食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」

「『やっつける(加熱)』は、一見万能に見えますが…」

さらに、食中毒の原因となる3つの細菌をについて、それぞれ特徴や気をつけるべきポイントについて説明しています。

○サルモネラ属菌
特徴:加熱が不十分な鶏肉、卵やその加工品が原因となることが多い
潜伏期間:12~48時間
症状:激しい腹痛や下痢、発熱、嘔吐など

「どんどん広がる二次汚染に注意」というサルモネラ属菌。調理器具や人の手指を通して「二次汚染」が発生し、思わぬものが原因で食中毒になるケースもあるといいます。サルモネラ属菌が付着していた肉類を切った包丁やまた板、調理で触れた手などから、野菜など他の食品を汚染してしまうことも。

そんな「サルモネラ属菌による食中毒を防ぐため」には、食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」が大切だといいます。

○黄色ブドウ球菌
特徴:おにぎりやサンドイッチなど手で作る食品が原因となることが多い
潜伏期間:1~5時間(平均3時間)
症状:吐き気や嘔吐、下痢など

「食中毒予防の三原則の3つ目『やっつける(加熱)』は、一見万能に見えますが、それだけでは食中毒を防ぐことが難しい菌がいます」と挙げたのが、黄色ブドウ球菌です。説明によると、菌自体は十分に加熱すれば死滅するものの、毒素であるエンテロトキシンは熱に強く、黄色ブドウ球菌を加熱したとしても残ってしまうそう。

加熱だけでは十分な対策とはならないことから、「黄色ブドウ球菌を食品に『つけない、増やさない』ことが重要」と呼びかけています。

○ウエルシュ菌
特徴:肉や魚、野菜を使用した煮物や汁物、大量に調理する食品が原因となることが多い
潜伏期間:6~18時間(平均10時間)
症状:腹痛や下痢など

黄色ブドウ球菌と同様に「しっかり加熱すれば大丈夫! とは言えない菌のひとつ」というウエルシュ菌。長時間加熱する煮物や汁物で、食中毒が発生するといいます。加熱に強いだけでなく、「酸素の少ない状態を好むことから、鍋底まで酸素が届きにくい大鍋や深鍋で調理する食品が原因になることが多く、一度にたくさんの人が食中毒になることも」あるそうです。

「多くの菌量を摂取することで発症するため、ウエルシュ菌を『増やさない』ことが大切」とし、作った料理は早めに食べるほか、長時間放置せず、冷えやすいように小分けにして冷蔵保存するよう呼びかけています。温め直すときは、よくかき混ぜて酸素に触れるようにして、中まで十分に加熱し早めに食べましょう。

これから迎える本格的な暑さの前に、食中毒を防ぐための正しい知識を改めて確認しておきたいですね。

© 株式会社Creative2