小学生の男の子が準絶滅危惧種のカメを保護 ユニークな名づけに1.2万“いいね” 「渋かっこいい」

手のひらサイズが愛らしい幼体のカメ【写真提供:宮本我休(@Gakyu_Miyamoto)さん】

日本固有種で準絶滅危惧種に指定されている、ニホンイシガメとみられるカメを保護した小学生がX(ツイッター)で話題になっています。その後、カメは小学生の自宅で飼育されることに。歴史好きな男の子が決めた、渋すぎる名前にも注目が集まっています。投稿者の宮本我休(@Gakyu_Miyamoto)さんに詳しいお話を伺いました。

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保護して飼い始めたカメの幼名は「カドキチ」 元服名は「ゲンブ」

「息子が道路で車にひかれそうになっていたカメを拾ってきて飼い出した。名前は水槽の角によくいるから『カドキチ』で、それは幼名らしく、元服名は『ゲンブ(玄武)』にするという。どこで知ったのやら、我が子ながら渋いなと思った……」

そんなコメントとともに投稿された写真には、黄色がかった甲羅から首を少しだけ出したカメが写っています。手のひらに収まる体のサイズ感などから、まだ成長しきっていない幼いカメであることがうかがえます。

投稿は瞬く間に話題になり、1.2万件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「出世ガメか、かっこいいな」「カドキチ→ゲンブ! 渋かっこいい 健やかであれ~」「渋すぎる! 猫を飼ったら白虎、鳥を飼ったら朱雀とかも名づけそう」「北の守護」など、たくさんの人からコメントが寄せられています。

準絶滅危惧種のニホンイシガメ 環境省に問い合わせたところ飼育OK

投稿者の宮本さんによると、小学生の息子さんが友達と遊んでいたとき、背中にアカハライモリを乗せて道路の真ん中にいたカメを発見し、保護しました。

このカメは、関東以西の本州、四国、九州などの島に生息する日本固有種「ニホンイシガメ」の可能性が高いといいます。2000年のIUCN(国際自然保護連合)と2012年の環境省によるレッドリストでは、準絶滅危惧種と評価されている希少なカメです。

念のため、環境省や京都府自然環境保全課に問い合わせたところ、指定希少生物ではないので飼育自体に問題はないとのこと。途中で逃がすなどの行為は控えるよう返答があったそうです。

こうしてカメは、宮本さん宅に迎えられることになりました。外に水槽を置いておくと猫などの動物に襲われる危険性があるため、室内で面倒を見ることに。水槽内には砂利を敷き、水受けを置きました。こだわりは、カメが日光浴をするために手作りしたバスキング台。登りやすいようにかんなで角度をつけ、その上にライトを設置しました。

名づけの発想には父親の仕事が影響 小さい頃から神仏に囲まれて育った息子さん

保護と同時に注目を集めたのは、息子さんがつけたカメの名前です。息子さんは歴史が大好きだそうで、成人を機に名前が変わる昔の風習「元服」に憧れがあったことから、2つの名前をカメに与えました。

実名のゲンブは、中国から伝わった4つの方位を司る神「四神相応」に由来。「東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武」という四神獣のひとつです。このネーミングの発想は、宮本さんの職業も大きく影響しているといいます。

「私の仕事が仏師なので、息子は小さい頃から神仏に囲まれて育ちました。教えたわけではないのですが、そういった環境から四神の玄武を知っていて名づけたのだと思います。動物に対して、とても慈しみのある子です。カメを発見したのが交通量の多い道路だったので、いてもたってもいられなかったのだと思います」

宮本さん自身にカメを飼育した経験はありませんが、今後責任を持って、息子さんと一緒に大切に育てるそうです。今度は、大人になった立派なゲンブの姿を見せてほしいですね。

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