福島県内土砂災害恐れ 新たに3万8670カ所 県調査 警戒区域指定など急ぐ

 福島県内で大雨などの際に土砂災害が発生する恐れのある場所が新たに3万8670カ所あることが県の調査で分かった。これまで判明していた8678カ所を含めると4万7348カ所になる。県は今後、さらに詳しく調べ土砂災害警戒区域の指定などを急ぐとともに、県の土砂災害情報システムで危険な場所を確認できる仕組みを整える。市町村の防災計画やハザードマップの改定など、災害対策の強化や県民の防災意識の向上につなげる。

 県が12日、公表した。今回新たに分かった土砂災害の危険箇所のうち、崖崩れの恐れがある場所は3万3799カ所、土石流発生の恐れがある場所は4871カ所だった。市町村別に見ると、面積の広いいわき市が6194カ所で最も多く、二本松市4182カ所、田村市3420カ所などと続いた。県は「阿武隈高地周辺はなだらかに見えて一定以上の傾斜のある土地が多かった」と今回の調査の結果を分析している。

 県はこれまで、土砂災害の危険のある場所として8678カ所を公表していた。ただ、2019(令和元)年10月の台風19号の際、県内で発生した土砂崩れなどによる人的被害のうち約6割に当たる25件が土砂災害警戒区域の未指定の場所で起きた。被害を未然に防ぐためにはより精密な調査が必要と判断し、航空レーザーを使って作成した高精度の地図データを基に、2021年度から地形や人家の有無などを細かく分析してきた。

 県は今後、土砂災害が発生する恐れのある場所の現地調査を進める。人家の密集地や老人ホーム、保育園などの施設が立地する場所を優先して危険性を詳しく調べる方針。土砂災害情報システムで確認できる仕組みは9月にも整備する。土砂災害警戒区域の場所や雨量情報などが地図上に示される既存の「土砂アラート」に、今回判明した箇所を掲載する。市町村に対しては地域防災計画やハザードマップ、広報誌などへの掲載を通して住民に対する周知を求める。

 県砂防課は「梅雨や台風の時期を迎えるに当たり自宅周辺の危険性の有無を認識してもらい、大雨時の迅速な避難行動に役立ててほしい」としている。

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