世界ランク1位からの『リキ、1人なら来いよ』 河本力は姉の言葉も胸に初の全米

河本力は初出場で驚きの出来事(撮影:ALBA)

<全米オープン 事前情報◇12日◇パインハースト・リゾートNo.2(米ノースカロライナ州)◇7548ヤード・パー70>

海外メジャー初出場の河本力は、早朝6時45分から練習ラウンドを開始した。10番から同伴選手なしでスタートして、午前9時15分頃に9ホールを終えるとそのままアウトへ突入。そして1番を終えたところで、『リキ!』と呼ばれた。

その声の主は、前の組で回っていたスコッティ・シェフラーとジャスティン・トーマス(ともに米国)だった。「1番グリーンで詰まって、『リキ、1人なら来いよ』みたいな感じで、すごいフレンドリーに声をかけてもらった。いきなり、リキって言われて、僕がびっくりしちゃった」。無双している世界ランキング1位とメジャー2勝を含むツアー通算15勝のトッププレーヤーとの“同伴”が実現した。

「すごくいい刺激をもらいましたし、状態の良さは伝わってきました。こっち(米国)に早く来たいな、挑戦したいなと思った。ショートゲームがめちゃくちゃうまかった。勝負どころのパターは入れまくるんだろうな、と」

開幕前からそんな刺激を受けながら、これが全米初出場。日本ツアー屈指の大砲だが、「パー4も長い。距離が出たほうが有利だなと思うホールもありますけれど、刻むホールも多いので」と、アドバンテージがあるとは言えなさそう。両サイドのネイティブエリアは厄介で、シルクハットのアンジュレーションに富んだグリーンを狙うには、「ティショットが大事になってくる」とフェアウェイから打たなければチャンスにつけることは難しい。

2週前には、姉の結が「全米女子オープン」に出場して39位だった。4万4896ドル(約700万円)を獲得し、『弟の分の遠征費は稼げたかな(笑)』と明るい声で話しながら、『いま持っている力のゴルフスタイルでいってきてね』とエールを送っていた。

「自分のできることだけをやろう、できないことをしようとするんじゃなくていまの実力を出し切ろうというアドバイスをもらった。緊張はしてくれないと逆にいいパフォーマンスができないので、いい緊張感を持ってやりたい」。難コースを相手にガマンさせられることを覚悟しながら、全力でぶつかっていくつもりだ。(文・笠井あかり)

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