2040年のコメ需要4割減、生産者は65%減見通し 藤井氏「日本人が日本人でなくなり始めてることを意味してますよね」

6月13日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、コメの国内需要に関するニュースについて意見を交わした。

藤井氏「日本は農業に対する補助金・支援金が極端に少ない」

コメの卸業者でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は12日、2040年のコメの国内需要が2020年に比べて41%減の375万トンに縮小するという見通しを発表した。生産者は同じく65%減の30万人程度に減る見込みだという。2030年代には国産米だけで需要をまかないきれない可能性があるとし、生産支援を訴えている。

日本総合研究所の協力でまとめた「米穀流通2040ビジョン」によると、人口減少や高齢化、消費者のコメ離れが需要減の要因としている。新規就農者数の落ち込みを受けて生産量の減少も続くと予測され、2038年には国内の純食料分の需要を満たすことができなくなるおそれがあるとした。

寺島アナ「日本人のコメ離れに加えて生産者の減少も影響しているということなのですが、こういう状況になるという予想が立てられているわけですね?」

藤井氏「ひどい話ですね。日本人がコメ食わんようになったっていう、これは深刻な問題ですよ。“瑞穂の国”なわけですから、我々は。日本人が日本人でなくなり始めてるっていうことを意味してますよね。で、これをなんとか食い止めるためにも生産を拡大していかなあかんわけですけども、生産を拡大するためには農業に対する様々な行政支援をしないといけないわけで、G7の中でもとりわけ日本は農業に対する補助金・支援金っていうのが極端に少ないんですね。半分とか3分の1くらいなんですよ。そんな状況があるから農業がどんどんどんどん人が少なくなっていってきてるわけですけども、なんでそうなってるかっていったらプライマリーバランス規律とか年間333億円しか予算を増やせないっていう規律があって、結局農業を放置しているっていうことなんですね、いまの岸田政権は。だから日本が日本でなくなることを加速させようとしてるんですよね」

寺島アナ「我々のイメージだと『おコメだけは日本で自給できてる』っていう感覚だったのが、もうそれもままならないという状況になりつつあるということですよね」

藤井氏「だからもう今の日本国政府はもう政府の体を成してないですよね。政府っていうものは国民とか国家を守るものですから。でも、財政規律を守るために日本国家を守る気ないっていうことですよね。だから言ってみたら、細胞っていうのは中に色々なものが入ってますけど、細胞膜っていうものが中身を守ってるんですよ。ところが、膜がどんどん溶けていったら細胞が破壊してしまって、中にあるいろんな情報が一瞬で死滅するんですよ。いま日本はそういう状況にあって、日本国政府っていうのは日本を細胞と見なしたときの細胞膜の役割を果たすわけですけど、その細胞膜を潰しにかかってるんですよ」

日本総合研究所はコメに関わる産業の維持・発展に向けた改革案を打ち出した。輸出支援や高価格帯市場の形成によって国内外の需要を拡大し、スマート農業の推進による担い手確保などの支援も提案した。

コメの流通は、集荷業者や卸・小売業者などを経由するルートが生産量の7割を占める。流通コストの実態調査を踏まえたコメの適正価格化なども訴えた。

寺島アナ「まぁ、なんとかしなきゃいけないっていうことですね」

藤井氏「そうです。だからもっと政府が色々お金を出したらコメの価格をもっと安くすることだってできるわけだし、農家の所得も上がるわけだし、しかもパンを小麦粉から米粉に代替すればいいわけで。美味しいですよ? 米粉のパンなんて」

寺島アナ「米粉パン美味しい! もっちりしていてね。好きです、わたしも」

藤井氏「小麦のほうが安かったりすることもあるでしょうけど、それの補助金とかも出したりとかしたらね。いくらでも日本の農業を支えるやり方なんて、お金さえ使うことを決めればじゃんじゃんあるわけですよ。それを全然やらないで『改革案』とか言って。改革っていうのは要するにお金使わないときの政府の逃げ口上なんですよね。ダメだ、これじゃあ」

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