SNS「甘い誘惑」に注意 青森県内で投資、ロマンス詐欺被害急増 5月末現在で計1億4827万円

 交流サイト(SNS)を通じて接触し、時間をかけて金をだまし取る詐欺被害が青森県内で相次いでいる。投資に勧誘する「SNS型投資詐欺」と、恋愛感情を抱かせて金をだまし取る「SNS型ロマンス詐欺」の県内の今年の被害額は5月末現在で計1億4827万円に達し「特殊詐欺」の約6倍に上っている。SNS型の二大詐欺は1人当たりの被害が高額になる傾向にあり、県警は「会ったことがない人のもうけ話には乗らないで」と注意を呼びかけている。

 SNSを使った詐欺は2023年7月ごろから全国で被害が急増。従来の特殊詐欺は、短時間で不特定多数の人から金をだまし取る手口だが、後発のSNS型はいずれも相手と信頼関係を築いた上で、中長期にわたって金をだまし取る。

 警察庁は4月、これまでの特殊詐欺被害の統計方法の見直しに着手。手口ごとに(1)特殊詐欺(2)SNS型投資詐欺(3)SNS型ロマンス詐欺-の三つに分類して分析を始めた。

 県警捜査2課によると、県内の今年1~5月のSNS型投資詐欺の被害認知件数は10件で被害額は8846万円、SNS型ロマンス詐欺は11件で5980万円に上る。新しい分類となった特殊詐欺は18件、2518万円。いずれも統計方法の見直しにより、前年と単純比較できない。

 SNS型二大詐欺の被害計21件を被害者の年代別にみると、50代が7件と最多。次いで30代と40代が各4人、60代3人などとなっている。男女別では女性13件、男性8件だった。SNS上の広告やマッチングアプリなどをきっかけに犯人と知り合った後、LINE(ライン)に移行してやりとりするケースがほとんどという。

 県警は6月以降も複数の被害を認知。11日に十和田署が発表したSNS型投資詐欺被害は県内の40代女性が、インターネットで見つけた投資に関する広告にアクセスしたことがきっかけだった。女性は、ラインの「新NISA交流グループ」というチャットグループに参加し計1420万円をだまし取られた。

 同課の土岐博紀次長は「広告などでうたう『必ずもうける』方法はない。投資や恋愛が絡むと、怪しいと思っても家族には相談しづらいと感じる人もいるので、金を払ってしまう前に一度警察に相談してほしい」と語った。

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