アプローチの進化とショットの不調 西村優菜は“ジレンマ”も糧に

進化したアプローチには手応え(撮影/亀山泰宏)

◇米国女子◇マイヤーLPGAクラシック for Simply Give 事前(12日)◇ブライズフィールドCC(ミシガン州)◇6556yd(パー72)

開幕前日のプロアマ戦、西村優菜は同組アマのプレーに拍手を送った後で自分のショットに肩を落とす場面があった。その傾向はアイアンショットで顕著に出る。「ドライバーに関してはだいぶ良くなってきたんですけど、セカンドは当たり方がバラバラというか、そこにすごく気持ち悪さを感じていて…」。迷いが深くならないよう、ポイントをシンプルに絞って対処しようとしているが、まだ解決には至っていない。

普段から自らのプレーをデータ化して管理。昨季71.58%(部門別39位)だったパーオン率が今季65.81%(同82位)となっていることも知っている。「グリーンに乗ったところでも、ファーストパットの長さとかも、やっぱり去年とかよりは落ちている感じがする」。持ち味であるはずのショットで思うようにチャンスメークできていない現状がもどかしい。

セカンドショットが悩ましい(撮影/亀山泰宏)

一方で前向きになれる数字も少なくない。パーオン率を下げながら、平均ストロークは昨季「71」から「70.90」でツアー19位とむしろ良くなっている。下支えしているのがショートゲーム。堂々の1位に立つサンドセーブ率はかねて得意とするところだが、「“ノーマル”がすごく下手だった」というアプローチの向上はオフから課題として取り組んできた成果が出ているとうなずく。

くしくも、実戦でグリーンを外す機会が多くなってしまった分、ゲームの中で寄せのスキルを“鍛えられる”場面に遭遇することもしばしば。失敗したら、ラウンド後の練習場で同じシチュエーションを再現して復習。繰り返すうちに球の高さを変えたり、パンチを入れてみたり…と引き出しも増えてきた。

2年連続出場の大会には巨大な飲食エリア(撮影/亀山泰宏)

進化を実感しながら、ショットメーカーとして本来の武器の切れ味を取り戻すことに必死だ。「このショットで、ショートゲームが去年の状態だと結構打ってしまっていると思う」と笑いつつ「オフから練習をやって良かったなと思いつつ、ショットに自信がない分、攻められるなっていう感触があまりなくて。そこ(ショット)の数値がもうちょっと上がってくれたら、もっと面白いゴルフができるんじゃないかな、と」。

試行錯誤を続けながら、今季主戦場の米ツアーでは予選落ちが一回もない。「伸ばし合いに食らいついていけるように頑張ります」。ジレンマを抱えていようと、粘り強く戦う。(ミシガン州ベルモント/亀山泰宏)

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