全滅のハス、復活なるか 芽をかじるカメ捕獲 小学生70人、苗植える 埼玉最大の自然の沼 川越

自分たちで育てたハスの苗を移植する古谷小学校の児童=5日午前、川越市内

 埼玉県川越市古谷上の市立古谷小学校(米塚貴洋校長)の3年生約70人が5日、同市の「伊佐沼」に近い水田で、自分たちが育てたハスの苗の移植を行った。伊佐沼では夏になるとハスがピンク色の花を咲かせてきたが、2022年からは激減した状態となっている。児童は「伊佐沼のハスも以前のように咲いてほしい」と願い、苗を植えた。

 児童によるハスの苗の移植活動は、市内のボランティア団体「伊佐沼の蓮を咲かそう会」の協力で行われている。今年は4月末から苗の栽培をスタート。児童は種を、ペットボトルで作った容器に水を入れて育て、1カ月ほど成長を見守った。

 苗を移植したのは、伊佐沼と道路を挟んで隣接する民有地の水田。児童は裸足になって水田に入り、同会メンバーのアドバイスを受けながら泥の中に苗を植えていった。

 同校3年の小川更紗さん(8)は「田んぼはぐちょぐちょしていた」と語り、「ハスの植え方が分かった。みんなのハスが育ち、きれいに花を咲かせてほしい」と話す。塩野深雪さん(8)は、西側に広がる伊佐沼について「咲かそう会の人からは『花が咲いていた』と聞いた。花が戻ってほしい」と期待を寄せた。

 苗の栽培や移植を指導した同会の原田秀一会長(72)は「苗は非常に出来が良い。皆さんが作ってくれた結果だ。良いハスが育つのではないか」と児童に呼びかけた。この日水田に移植したハスの苗について、原田会長は「3年後には花を咲かせたい」という。

 伊佐沼は東西300~400メートル、南北800メートル~1キロにわたる県内最大の自然の沼。ハスは約1ヘクタールにわたって育っていたが、22年にそれまでの2割ほどに激減し、昨年はほぼ全滅した。同会は池にすむ条件付き特定外来生物のアカミミガメが、ハスの芽をかじってしまうことが原因とみて捕獲活動を行ってきた。

 今年4月には沼の5カ所にハスの苗を移植し、復活を見守っている。

水を蓄える伊佐沼=5日午前、川越市内

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