OpenAI、年間収益が倍増ペースか。「アップルは提携に金銭を支払ってない」報道も

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OpenAIは全世界にチャットボットAIブームを巻き起こし、ついにアップルとの提携にまで至ったが、実際に儲かっているかどうかは外から分かりにくい。だが、過去6か月で年換算売上高(前月の売上高を12倍にしたもの)を倍増させたと報じられている。

有料ニュースメディアThe Inromationによれば、サム・アルトマンCEOが社内で年間34億ドルの収益を上げるペースで進んでいると語ったという。昨年末の16億ドル、1年前の10億ドルからトントン拍子の加速ぶりである。

この収益の大半は、月額20ドル以上のChatGPT有料プランを使う個人ユーザーと、同社のLLM(大規模言語モデル)を自社アプリやサービスで使う開発者からのもの。さらにマイクロソフトがChatGPTを企業向けクラウドサービスAzureを使う顧客に販売し、その売上の一部をOpenAIに還元していると伝えている。

OpenAI広報はThe Informationに対し、この財務内容は「不正確」だと反論しているが、どの部分が事実と異なるのかは明らかにしていない。米Engadgetもコメントを求めているが、記事執筆時点では同社の回答はないようだ。

今週初め、アップルは独自の生成AI「Apple Intelligence」とともに、OpenAIとの提携を発表した。iPhoneやiPad、macOS(一定の条件を満たすデバイスに限る)にはChatGPTへのアクセスを統合し、いずれSiriを通じてChatGPTの回答や画像生成ツールを利用できる予定だ

今のところ両社は、どのような契約条件に合意したのかは明かしていない。そんななか、アップルの内情に詳しいMark Gurman記者は、アップルはChatGPTを使うためにOpenAIに金銭を支払っていないと報じている。

現在の仕組みでは、この提携はOpenAIにとってはカネが出ていくだけになりかねない。マイクロソフトのAzureサーバーでChatGPTをホストする必要があるため、その支払いも生じる。無料のChatGPTを使う人が増えれば増えるほど、費用は増えていくことだろう。

将来的には両社はレベニューシェア、つまり収益を分け合う予定だという。アップル製品を介してOpenAIの有料プランに加入した場合、ユーザーはアップルの支払いプラットフォームを使うため、手数料が落ちてくるというわけだ。

またアップルは、引き続き様々なチャットボットAI各社との協議を行っているという。最終的にアップルは、AIパートナーとの収益分配契約を取り交わして、利益を上げることを目指していると伝えている。

これはSafariが様々な検索エンジンを選ぶことができたり、アップルがGoogleから「デフォルト検索エンジン代」を徴収している構図と似ている。アップルは生成AIで出遅れた分を、iPhoneをAI課金プラットフォームと割り切ることで取り戻すつもりかもしれない。

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