横浜国際プール 通年スポーツフロア化へ 市、再整備計画素案示す 横浜市都筑区

プール時のメインアリーナ(写真上、メインプールの奥にダイビングプール)とスポーツフロア化したイメージ(下)=提供写真

横浜市は、横浜国際プール=北山田7の3の1=の再整備計画の素案を示した。素案ではメインアリーナを現在の「夏季・プール、冬季・スポーツフロア」から、「通年スポーツフロア化」する方向性を明らかにした。

横浜国際プールは、メインプール、ダイビングプールなど国際基準を満たす神奈川県内の最大本格的な水泳用プール。2002年のパンパシフィック水泳選手権をはじめ、水球、シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)など4度の国際大会が開かれている。

国際規格は消滅

素案は、6月3日開催の市議会市民・にぎわいスポーツ文化・消防常任委員会で報告された。

市にぎわいスポーツ文化局によると、1998年7月開館の同プールは、老朽化による設備更新や2021年度に包括外部監査で示されたプールとスポーツフロアの併用による床転換で生じる休館期間やコスト面への対応などから、持続可能な施設にするため、再整備の検討を行っていた。

再整備を検討する上で、市は民間事業者によるサウンディング(対話型市場)調査を実施。地域住民や水泳関係者との意見交換を踏まえ、利活用を検討した結果、賑わいの創出や収益性の観点から床転換せず、通年スポーツフロア化する方向で計画素案を策定した。

素案ではメインアリーナはさまざまなスポーツ興行ができるスポーツフロアに改修。利用状況に応じ、エア遊具などを設置する。観客席は可動式を含め現状の約5000席から6000席以上へ増設。サブプールは各種大会の開催ができるよう、観客席の増設など機能強化を図る。また、屋外にも遊具を設置するなどの計画を明示した。国際基準を満たしたプールがなくなることで国際大会の誘致・招致は出来なくなるが「大きなデメリットはない」とした。

今後、6月末頃から約1カ月間、市民意見を募集。9月を目途に事業計画の原案を策定する。

県水連「認識違う」

一方、(一社)神奈川県水泳連盟(高橋憲司会長)は委員会開催日と同じ6月3日、山中竹春市長あてに、夏季のプール使用の継続を求める陳情書を1万1129人分の署名と一緒に提出した。

同連盟の吉川智己理事長は「県内の中高生の主要大会は応援者や保護者も多く、他市の会場ではすべてを収容できず、入場を制限せざるを得ない」と嘆く。日本代表レベルの選手を間近で見る機会が奪われることにもつながり、「競技人口のすそ野が広がらない」とし、「『水泳関係者は横浜市から出ていけ』と言われている感じ」と憤りを隠さなかった。また、国際大会の開催の少なさについては「市が招致をするもの。認識が違う」とした。

連盟では、今後予定されている市民意見募集に対して意見を寄せていくほか、第2弾の署名提出も計画しているという。

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