杉村太蔵が入隊? 防衛装備品に商機

今週のけいナビの特集は防衛装備品産業。防衛装備品とは戦闘機や輸送機、燃料、食料、制服など自衛隊の任務遂行に必要なもの全般を指す。この防衛装備品を巡る動きに昨年、ある変化があったという。

番組MCの杉村太蔵さんが今回訪れたのは、千歳にある陸上自衛隊東千歳駐屯地。面積は590ヘクタール。全国に160ほどある駐屯地・分屯地の中で最大の規模だ。

ここで杉村さんを待ち受けていたのは、89式装甲戦闘車という特殊車両。10人乗り仕様だ。射撃スペースもあり、もう戦車と言ってしまっていいような気もするのだが「戦車ではない」(第7師団・田村央記1等陸曹)。なんと今回、この装甲車に杉村さんが乗せてもらうことに。

最高時速70キロという装甲車に乗った杉村さんには「相当なGがかかっているはず」と話すのは、同行した小澤良太アナウンサー。無事戻った杉村さんは「振動はあったが、機能的で操作はしやすいはず」と感想を述べた。

ところでこの装甲車、よく見てみると様々な部品の集合体であることが分かる。この部品のひとつひとつが防衛装備品。ちなみに、装甲車1台は10万点もの部品からなるのだ。

防衛装備品を巡っては去年、防衛生産基盤強化法という法律が施行。装備品の国内生産を促進する内容で、併せて定められた装備品移転三原則で輸出も可能にした。製造に携わる企業がきちんと利益を上げられる仕組みを整え、新規参入を促すことが狙いだ。利益率を従来の8パーセント程度から最大15パーセントにまで引き上げる目標も掲げた。

ことし4月に防衛装備庁が札幌と函館で開いた装備品に関する説明会には、新規参入を視野に入れる多くの道内企業が参加した。既に装備品を製造している企業の担当者の姿も見られた。

防衛装備庁は、こうした説明会を昨年から各地で開催。技術力のある中小企業やスタートアップの新規参入を促進することで、自国の生産体制を強固なものとすることを目指している。

実は北海道には、ある防衛装備品の国内シェア8割を占める会社がある。小樽に本社を置くサイダだ。

サイダが高いシェアを占めるのは迷彩柄の雨具。陸・海・空の全てを手掛ける。特殊な糸を使用して強度を保ちながら、職人の技で仕上げていく。齋田義孝社長は「日本製の縫製品は現在は極めて少ないが、防衛生産基盤強化法ができたことでその部分が底上げされれば」と期待を込める。

千歳にある菱重特殊車両サービスは、戦車のメンテナンスを専門とする会社。売上高は約100億円。この分野では大手だ。

工場内には戦車がずらりと並ぶ。全ての部品を取り外した上で消耗品を交換、新品に近い状態へと復元するオーバーホール作業を実施中だという。

門岡平八取締役は、「法の施行で我々のようなアフターサービスを行う企業にも日の目が当たることを期待する」と話す。若い働き手の不足という事態に直面していて、この点の改善につながれば良いとの考えも示した。

杉村さんは「こうした分野への政府の支援はまだ十分とは言えない。知られざる技術にもっと目を向けるべき」と指摘した。

(2024年6月15日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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