休業中の嘉穂劇場2031年度にもリニューアルへ 大規模改修は数億円規模か 財源確保が課題に

経営難で休業し、福岡県飯塚市に譲渡された嘉穂劇場について、市の活用検討委員会は開業から100年の節目となる2031年度のリニューアルオープンを目指す答申案をまとめました。

石炭産業と共に発展した国の登録有形文化財

3年前の2021年から休業している福岡県飯塚市の嘉穂劇場。

市の文化施設活用検討委員会は12日、「施設改修・管理運営計画」の答申案をとりまとめました。

耐震補強やバリアフリー化など大規模な改修工事を行い、開業から100年となる2031年度のリニューアルオープンを目指すとしています。

コスプレイベント eスポーツの大会誘致めざす

リニューアル案では耐震補強などの大規模改修で収容人数は立ち見を含め、約1000人規模へ

回り舞台やせりなどの舞台装置は改修して保存します。

そして、多様な世代をターゲットとして、アニメとコラボしたコスプレイベントや、eスポーツの大会などを誘致したいとしています。

飯塚市教育委員会 瀬尾善忠 文化課長
「嘉穂劇場にはたくさんの小道具がありました。非常に価値があるものだと思っておりますので、その1点1点を記録にとどめる作業を行っているところです。」

昭和6年=1931年に開業

昭和6年=1931年に開業した嘉穂劇場は、石炭産業の発展とともに、「大衆演劇の殿堂」として親しまれ、国の登録有形文化財に指定されています。

美空ひばりさんや高倉健さんもゆかり

美空ひばりさんや高倉健さんなど、劇場にゆかりのある芸能人は多く、歌舞伎や歌謡ショーなど様々な公演が行われてきました。

2003年豪雨で被災

炭鉱閉山後も、筑豊のシンボルとして営業を続けてきましたが、2003年7月の集中豪雨では壊滅的な浸水被害を受け、廃業せざるを得ない状況にまで追い込まれました。

チャリティーイベントで営業再開も・・・

しかし、明石家さんまさんらによるチャリティーイベントや、かつて舞台に立った役者たちの呼びかけもあり、約4億8000万円の義援金が集まって、被災した翌年には営業を再開することができました。

新型コロナで来場者激減 解散へ

その後、年間5万7000人が訪れていた劇場も、新型コロナの影響で来場者数が激減。

2021年には運営団体が経営難で解散。

休業となった施設は無償で飯塚市に譲渡され、再開に向け、調整が続いていました。

飯塚市「古き芝居小屋と新しい出会い」

市の活用検討委員会は「古き芝居小屋が放つ空気感に新しい出会いが重なる賑わいの劇場にしたい」としています。

飯塚市教育委員会 瀬尾善忠 文化課長
「文化財としての嘉穂劇場の機能、それに加えて地域のいろんな賑わいをつくるような嘉穂劇場にして欲しいという声を頂いているところです。検討委員会の中で出された答申、これを最大限尊重した形で飯塚市で今後検討をしていきたいと思っております。」

財源確保が課題

一方、楽屋棟や売店棟などは現在の建築基準法に適合しておらず、大規模改修に向けた費用は数億円規模になると見られていて、飯塚市が財源を確保できるのかが課題となっています。

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