「大河端音頭」を一新 複雑な振り付け、若者向けにアレンジ 明るい曲調、踊りやすく

新大河端音頭を披露する保存会員=金沢市の大河端町集会所

  ●7月の夏祭りで披露

 金沢市大河端町(おこばたまち)に戦前から伝わる「大河端音頭」をアレンジした「新大河端音頭」が13日までに完成した。旧音頭は振り付けが複雑で、若い世代が踊りにくい課題があったことから、大河端町伝統芸能保存会が北都民謡会に依頼し、明るい曲調で楽しい振り付けの新音頭を作った。7月27日の夏祭りに踊られる予定で、保存会は幅広い世代に親しんでもらい、市の認定歴史文化遺産でもある音頭の継承を図る。

 大河端音頭は、戦前まで盆踊りなどの際、盛んに歌い踊られたが、戦後、後継者らの激減で衰退。1998(平成10)年に住民有志が浅野川小の児童に踊りを教えるなどして復活し、学校の運動会や夏祭りで踊られるようになったが、コロナ禍を経て再び踊る機会がなくなっていた。

 若い世代に定着しない理由の一つとして、踊りが一般的な盆踊りより複雑で、テンポが遅く、お座敷などで披露される舞に近いことがあった。

 新音頭はメロディーはそのままに、盆踊りに適した明るい曲調と目線が上に向く振り付けになっている。農作物の刈り入れや船をこぐ動作など躍動感のある振りも取り入れ、テンポも上げた。

 12日には、大河端町集会所でお披露目会(北國新聞社後援)が開かれ、保存会や北都民謡会の会員が踊った。住民は早速、手の動きをまねて「これはいい」「振り付けが面白い」と新音頭を歓迎した。

 保存会の稲葉夏世子さん(58)は「旧音頭よりも明るい雰囲気で、踊っていて楽しいと思える音頭になった」と手応えを語った。保存会は動画配信サービス「ユーチューブ」で新旧の音頭を紹介しているほか、夏祭りを前に7月25日に練習会を開く。

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