万葉ロマン薫る名所に 憶良詠んだフジバカマ、二上山に植栽 高岡・万葉小児童、愛する会

会員の指導でフジバカマの苗を植える児童=高岡市の二上山

 高岡市の「二上山(ふたがみやま)を愛する会」は13日、二上山の城山園地で万葉小児童とともに、万葉集で歌人山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだフジバカマの苗木62本を植えた。フジバカマは秋の七草に数えられ、日本人に親しまれてきた在来種であり、万葉ロマン薫る名所を目指す。

  ●アサギマダラ飛来に期待

 フジバカマは日本列島を横断するチョウ「アサギマダラ」が好む植物でもあり、児童は多くの飛来に期待を込めた。二上山は越中国守として赴任した万葉歌人の大伴家持が奈良の二上山(にじょうさん)と同じ名を持つ山として愛し、多くの歌を残した。フジバカマは万葉集で家持が尊敬する山上憶良の歌に詠まれている。

 県西部の登山愛好者らでつくる「二上山を愛する会」は、昨年5月の結成前から個々で二上山の草刈りやササユリの保護に取り組んでいる。今回は郷土愛を育む一環としてフジバカマの植栽を企画し、県の水と緑の森づくり税を活用した事業に選ばれた。会員と万葉小3年生31人は高さ30~40センチの苗木に土をかぶせた。アサギマダラの生態を会員から学んだ本林千優(ちひろ)さん(8)は「フジバカマが花を咲かせ、たくさんのチョウに来てほしい」と声を弾ませた。

 フジバカマの在来種は自生地が減少し、環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。愛する会は二上山の麓にある市万葉歴史館に在来種が植栽されていることを知り、挿し芽を譲り受けて株を増やした。今後、会員は水やりや雑草を除去する。宮西博会長は「フジバカマを通じて多くの人に家持が愛した二上山に親しみ、万葉ロマンを感じてもらいたい」と話した。

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