【ソフトバンク】王会長が動いた 18試合ノーアーチの山川穂高と〝モヤモヤ〟共有

熱く語った王貞治会長と山川穂高

世界の王が苦しみを共有した。パ・リーグ首位のソフトバンクは13日のヤクルト戦(みずほペイペイ)に6―3で競り勝った。序盤から相手先発・高橋奎の7四死球の大乱調に乗じて着実に得点を奪い、4カード連続の勝ち越し。交流戦の勝ち越しも決め、貯金を今季最多タイの21に戻した。

順調に勝ち星を積み重ねるチームの中で、絶対的4番・山川穂高内野手(32)のバットから久しく本塁打が出ていない。18試合、77打席ノーアーチ。この日も第5打席に右前打を放って4試合連続安打、3出塁と〝一日一善〟の働きを欠かさないが、そこは生粋のスラッガーだけにモヤモヤした胸中を抱えながら戦っている。

練習熱心な大砲はアーリーワーク、試合後の居残り練習で連日バットを振り込み、本来の打撃を取り戻そうと試行錯誤を続けている。

「バットの出し方、構え方、ボールの待ち方、見え方を含めると(修正ポイントは)何個もある。良い時はこうだった、今日はこうだったというふうに修正をかけている」(山川)

相手に重圧をかける〝大砲の怖さ〟を取り戻すべく、鷹の4番はもがいている。

この日の試合前練習、珍しい光景があった。ベンチから練習を見守っていた王会長が山川を呼び寄せ、5分ほど身ぶり手ぶり助言を送った。まずは山川の言葉に耳を傾け、悩みを共有。悪い時の心理状態や、改善ポイントを2人だけの空間で確認し合った。山川は4番としてチームを勝たせる打撃を最優先にしているが「打った人にしか分からない感覚だけど、たった一本のホームランでガラリと景色が変わるものなんです」と〝スラッガーの境地〟を王会長と共有。待望の一発こそ出なかったが、試合後はスッキリとした表情で帰路に就いた。

「本人も悩んでいるようだけど、打つことで抜けていく」と山川の地力に期待をかけた〝世界の王〟。首位を快走する好調なチームにあって山川本来の輝きが戻れば、鷹の勢いはさらに加速する。王会長にしかできない、王会長らしい見過ごせない動きだった。

© 株式会社東京スポーツ新聞社