東大HCが産駒、騎手別の「函館巧者」を紹介 「ジャスタウェイ産駒×芝2000m」、佐々木大輔騎手が狙い目

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函館開催がスタート

先週から函館開催がスタート。函館スプリントSはサトノレーヴが勝利し、ロードカナロア産駒が同重賞3勝目を挙げた。これで函館スプリントS(函館開催のみ)のロードカナロア産駒は【3-2-0-8】で勝率23.1%。函館の短距離マイスターと言っても過言ではないだろう。そんなロードカナロア産駒はもちろん、函館記念を3連覇したエリモハリアーなど、トリッキーな函館コースを得意とする「函館巧者」は多く存在する。

そこで今回は、産駒や騎手の函館適性をデータで検証。ここでは函館コースの勝率から全場での勝率を引いたものを「函館巧者率」と定義し、この数値に基づいて各産駒や騎手の函館コースに対する得意/不得意を議論してゆく(データは2019年6月15日から2024年6月9日までのものを使用する)。

ジャスタウェイ×〇〇が単勝回収率600%超え!

まずは、産駒別に芝コースの函館巧者率について分析する。今回は過去5年の函館競馬場の芝の勝利数がトップ30以内の産駒が調査対象だ。

まず取り上げるのはジョーカプチーノ。21.4%-5.0%=16.4%と圧倒的な函館巧者率(「函館勝率」-「全場勝率」)を誇っている。先週の函館日刊スポーツ杯でも、産駒のポルタフォルトゥナが8番人気3着と穴を開けた。好走例の全てが1200m戦。この距離では【9-4-2-22】勝率24.3%、単勝回収率130%とベタ買いしてもプラスだ。この夏のスプリント戦でも該当馬がいれば要警戒だ。

続いてトーセンラー。巧者率は16.7%-6.0%=10.7%と2桁の大台に乗っている。こちらも1200mで【5-3-2-16】勝率19.2%、単複の回収率はともにプラス域をマークしている。また内枠に強く、1~3枠では【4-1-0-5】勝率40.0%、単勝回収率277%と妙味たっぷりだ。

ミッキーアイルも15.9%-8.1%=7.8%とまずまずの巧者ぶりを発揮。22年の函館スプリントSを産駒のナムラクレアが制している。1800m戦では10番人気の馬が勝ったこともあり妙味度が高く【1-2-0-3】単勝回収率716%、複勝回収率160%を記録。ちなみに1200m戦では【6-3-5-23】勝率16.2%、複勝率37.8%で回収率は単勝45%、複勝102%。2、3着に入ってくる人気薄を狙いたい。

ジャスタウェイは巧者率13.0%-7.8%=5.2%。こちらは中距離の2000mで狙いたい。同コースでは【5-1-3-12】勝率23.8%、単勝回収率464%と妙味たっぷり。2000mの好走例のほとんどが良馬場に集中しており、この条件に限ると【5-1-1-9】勝率31.3%、単勝回収率609%にまでアップする。

一方、巧者率のマイナスが目立ったのがドゥラメンテ、ルーラーシップ、エピファネイア。それぞれ、5.0%-10.4%=-5.4%、5.1%-8.2%=-3.1%、7.3%-9.4%=-2.1%となっている。

続いてダートコースの函館巧者率についても分析する。

こちらではまず、ロージズインメイを取り上げる。巧者率は16.1%-5.8%=10.3%。狙い目は1000mで【4-3-1-5】勝率30.8%、複勝率61.5%と驚異の安定感。単勝回収率も115%とプラス域で、妙味の面でも優秀だ。

続いてマクフィ。17.1%-6.9%=10.2%と、こちらも2桁台。未勝利戦での活躍が目立っており【4-1-3-7】勝率26.7%、複勝率53.3%と2回に1回は馬券に絡む安定感を見せている。この条件では単複の回収率はともに100%超えしており、見かけたら必ず買い目に入れておきたい。

コパノリッキーも16.7%-7.7%=9.0%となかなか。こちらは中距離の1700mが狙い目。【3-0-2-15】勝率15.0%、単勝回収率307%を記録しており妙味たっぷりだ。また、1勝クラスに勝鞍が集中しているのも特徴で【4-0-0-5】勝率44.4%、単勝回収率は780%となっている。

芝に続いてダートでも函館巧者っぷりを発揮しているのがミッキーアイルだ。巧者率は18.2%-9.4%=8.8%。芝のイメージからダートもスプリンターを狙いたくなるが、1000mでは【2-3-1-13】単勝回収率48%と妙味は薄い。狙い目は中距離でサンプルは少ないものの、1700mでは【2-0-0-1】で単勝回収率293%を記録している。

一方、苦戦が目立ったのがシニスターミニスター。巧者率は7.1%-10.3%=-3.2%となっている。その他、キングカメハメハ(巧者率:8.2%-10.2%=-2.0%)やキンシャサノキセキ(巧者率:4.8%-6.8%=-2.0%)が函館ダートを苦手としているようだ。

若手たちが北の大地で躍動!

最後は騎手別の函館巧者率について分析する。ここでも過去5年の函館競馬場での勝利数がトップ30以内の騎手が調査対象だ。

はじめに紹介するのが3年目の鷲頭虎太騎手。巧者率は10.4%-3.3%=7.1%。狙い目は芝でもダートでも短距離だ。芝1200mは【5-2-0-15】勝率22.7%、単勝回収率107%、ダート1000mは【1-3-2-14】複勝率30.0%、複勝回収率150%とどちらも妙味十分。斤量51kg以下なら【7-6-2-17】単勝回収率156%、複勝回収率170%を記録しており、軽ハンデを生かした好走が目立っている。斤量の減量特典がついている今が買い時だ。

鷲頭騎手の同期、佐々木大輔騎手も函館と相性がいい。巧者率は13.6%-7.6%=6.0%だ。昨年は最年少で函館リーディングを獲得しており、今年も活躍が期待されている。狙い目は芝の下級条件。新馬戦【2-2-3-3】複勝回収率136%、未勝利戦【5-3-5-21】同139%、1勝クラス【3-2-2-11】同113%と、人気薄でも2、3着に入ることが多々ある。ヒモには必ず入れておこう。

6年目の小林凌大騎手も8.0%-3.1%=4.9%と、高い巧者率を記録している。狙い目は圧倒的にダート。芝【1-1-0-58】勝率1.7%、単勝回収率10%に対して、ダートは【10-2-7-58】勝率13.0%、複勝率24.7%、単勝回収率116%と非常に優秀な成績を残している。ダートで3番人気以内に支持されていると【8-1-0-4】勝率61.5%、単勝回収率233%、複勝回収率116%と期待値が高く、函館では積極的に信頼していきたい若手の一人だ。

一方、マイナスが目立ったのはC.ルメール騎手。函館巧者率は19.0%-25.0%=-6.0%と、他のコースに比べて信頼度はガクンと落ちる。また、若手のなかでも坂井瑠星騎手は7.7%-11.1%=-3.4%で、函館コースを苦手としているようだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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