「『ただの失敗』と捉える方も多いと思いますが…」海外挑戦が日本代表GKにもたらしたもの「生かすも殺すも自分次第」【町田】

海外移籍も経験して、今季FC町田ゼルビアの一員になったGK谷晃生(ガンバ大阪から期限付き移籍)。ここまでのプロキャリアはそれなりに描いた通りのものになっているかと訊くと、彼は「全然そんなことはないですね」と答えた。

「紆余曲折がありましたが、ただ、向かっているところは一緒かなと思いますし、一緒じゃなければいけないですし、辿り着く先が一緒であればどんな道でもいいです」

紆余曲折で思い出されるのが海外移籍。23年8月1日にG大阪からベルギーのFCVデンデルEHにレンタル移籍で加入すると、過酷な日々を過ごしたそうだ。

「自分のことを誰も知らない環境でやりたいと思って移籍してみると、怪我もありプレーもなかなか上手くいかない。コミュニケーションの部分もそうでした」

それでも、谷は言う。「人としても選手としても間違いなく成長できた」と。

「当時はそう思えなかったですけど、今になっては必要な時間だった。間違いなくこれから先、ベルギーでの経験が生きると確信しています。側から見れば『ただの失敗』と捉える方も多いと思いますが、失敗にするのも成功にするのもこれからの自分のパフォーマンス、結果なので、別に気になりません」

やらないよりも、やる勇気。谷も「行かないと分からないこともある」と断言する。

「サッカー選手であり、人間でもあるので、色んなところで色んなことを学びたい。その場所でしか学べないこともたくさんあります。異なる文化、言語、考え方や価値観があるなかで得たものを生かすも殺すも自分次第だと思います」

何事も経験。それを改めて実感させられた言葉である。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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