仮想現実(VR)技術で災害が疑似体験できる防災体験車のメディア向け試乗会が13日、栃木県庁で開かれ、記者も参加してリアルに再現された自然災害を身をもって味わった。90秒間の体験ながら、日頃の備えと心構えの重要性を痛感した。
4トン車の荷台部分に4席の専用チェアが並ぶ。その一つに腰を下ろしてVRゴーグルを装着すると、360度の立体映像が目の前に広がった。
VRコンテンツの一つ「風水害編」の舞台は運転中の車内。大雨特別警報を知らせるラジオが流れ、車外は荒天のため一帯が暗い。
制作した「フライムフラップ」(大阪市)の池原淳(いけはらじゅん)代表(59)によると、街灯が少ない地方の道路を再現したという。
映像に連動して振動する椅子がひときわ揺れ、異常事態に気付いた。冠水したアンダーパスに突っ込んだ車。視界が悪く、減速した様子もなかった。
ドアも窓も開かない。脱出を試みているようだが、窓は割れない。見る見る車内の水かさは増して迫る-。映像はそこで終了した。
「地震編」と「火災編」も視聴した。それぞれ90秒間ずつ。ゴーグルを外すと、冷や汗が出ていることに気が付いた。
1995年の阪神大震災を経験した池原さんは「緊迫感を味わい、家族や友人との話し合いにつなげてほしい」と語る。VR防災体験車は15日、県庁での県民の日記念イベントで一般向けに披露される。