特産灘浦みかん かき氷に 富山県氷見市の菓子店・坂尻さん、地震被災の地元盛り上げ

「氷見市を盛り上げたい」と話す坂尻さん=氷見市鞍川

 富山県氷見市鞍川の菓子店「さか志(じ)り」の坂尻夏海(なつみ)さん(26)が、能登半島地震で大きな被害を受けた氷見を盛り上げたいと奮闘している。東京の菓子専門学校や老舗和菓子店勤務を経て昨年11月から実家を手伝っており、地元特産の灘浦みかんを使ったかき氷を新たに始めた。菓子を通じた古里貢献を誓っている。

 元日の地震で実家兼店舗は大きな被害はなかったものの、市内では引っ越しを余儀なくされた住民も多い。氷見のために何かしたいと強く思うようになった。5年半働いた都内の和菓子店で人気だったこだわりのシロップを用いた和テイストのかき氷をヒントに、実家で出そうと考えた。併せて店内にこれまで簡易的に設けられていた喫茶スペースをかき氷を中心にしたイートインスペースとしても本格活用することにした。

 かき氷(千円)は現在、「みるくきなこ金時」など和テイストの商品を含む7種類。灘浦みかんに続く地元食材を使った商品は常時1~2種類提供していく。「稲積梅やヤマブドウなど使えそうな食材は、どんどん採り入れたい」。今まで出していなかったいちご大福も商品化し、現在は夏っぽい大福を考案中。生菓子「水無月」やかしわ餅も作り始めた。

 いろいろな商品で客を呼び込める店を目指しており、氷見を盛り上げていくことで地震で古里を離れた住民が氷見に戻るきっかけになればと願う。「氷見が好きで実家に戻ってきた。地震を経験し、助け合いの大事さも強く感じた。若者の力で氷見の良さを発信していきたい」と話す。

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