旧TwitterのX社、解雇した元従業員らに過払いしたとして返金要求。応じなければ訴訟

実業家のイーロン・マスク氏が所有するX(旧Twitter)社が、解雇された元社員らに対し、過払いしたと主張して返還を求める訴訟を起こしたと報じられている。

旧Twitterといえば、マスク氏が買収後にクビにした元従業員らが、退職金の支払いを拒否されたとして集団訴訟を起こしたことや、元経営幹部4人が未払い退職金をめぐりマスク氏を提訴したことなどが記憶に新しい。今回は、その逆パターンである。

オーストラリア誌のSydney Morning Herald報道によると、X社は元オーストラリア人従業員の少なくとも6人を法廷に提訴すると脅しており、支払い時に米ドルから豪ドルへの通貨換算を誤ったため、過払いした分を返還するよう求めているという。

その金額は、1人当たり1500ドル~7万ドル。これまでのところ、誰ひとりとして返済に応じてないという。1オーストラリアドルは現在、0.67ドル相当である。

X社の主張では、過払い金は旧Twitterに入社した際に付与された株式というかたちの「繰延現金報酬」に関連したもの。これらの株式は「マスク氏が2022年にTwitterを買収した当時の1株54.20ドル(82オーストラリアドル)で評価され、従業員が取得する株式総数は勤続年数に応じて決められていた」とされている。

こうした現金報酬を支払う際に「通貨換算ミスを犯し」、「株式価値の2.5倍の換算レートで支払っていた」と伝えられている。

今回の報道では、雇用法の専門家は元従業員らは返金を余儀なくされる可能性があるとしつつ、X社に対して「どのような手違いが起きたのか明確に説明し、裏付けとなる証拠書類の提出を求めるべき」とも付け加えている。その上で、本当に過払いがあったのであれば、現地の雇用法では「通常、その分を返済する義務がある」とのことだ。

マスク氏は買収後、旧Twitterと取引のあった様々な業者への支払いを拒否したため、補償を求める訴訟が殺到していた。その一方、同氏はテスラCEOとして560億ドル(約8兆8000億円)の報酬パッケージを株主総会に承認されたばかりであり、今後もカネ絡みの話題で注目を集め続けそうだ。

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