なでしこJ、難航したパリ五輪メンバー選考 18人枠の影響を受けたサイド…注目される起用法

なでしこジャパンのサイド起用法に注目【写真:徳原隆元】

なでしこジャパンは6月14日にメンバーを発表

日本サッカー協会(JFA)は6月14日、なでしこジャパン(日本女子代表)のパリ五輪メンバー18人を発表した。全体的に見れば順当な選出となったなか、本大会に向けて焦点になるのはサイドの選手たちの起用法になりそうだ。

池田監督は18人のメンバーと4人のバックアップメンバーを発表。なでしこジャパンの指揮を執り、世界一に導いたこともある佐々木則夫JFA女子委員長は、今回のレギュレーションについて「22名から常にどの試合も18名を選択するようなことになるかは決定していない」と、2021年の東京五輪で採用された方式になるのかどうかについて話した。メンバー発表前にレギュレーションが決定していないこと自体は問題だが、まずは現段階で発表された18人を基本に戦うことになると考えておいたほうがいいだろう。

なでしこジャパンは今月に入って実施されたニュージーランドとの国際親善試合2試合や、昨年の女子ワールドカップ(W杯)では3-4-2-1システムをメインに戦った。一方で、池田監督は4-3-3システムとの併用もプランしているとこれまでに話している。そうなってくると、3バックにおけるウイングバック、4バックにおけるサイドバックとサイドハーフは兼用できる選手もいれば、どちらかしか難しい選手も出てくるだろう。それを18人の枠内で調整するのは難航したことも想像できる。

この視点でいくと、右サイドはDF清水梨紗の存在があり4バックならサイドバック、3バックならウイングバックの選択肢で一番手に来るだろう。そして、攻撃的なオプションや4バック採用時のアタッカーとして、今季WEリーグでこのポジションでプレーして20得点したMF清家貴子を軸に、MF藤野あおばを回すことも考えられる。この観点から、清水と特性の重なるDF守屋都弥にとっては状況が厳しかったかもしれない。

一方の左サイドは世代別代表などでは常に代表チームの常連だったが、A代表としては今年に入って一気に頭角を現す形になったDF北川ひかるの存在が大きくなった。右サイドの清水と同様にサイドバックとウイングバックで問題なくプレーでき、攻撃的なオプションとしては女子W杯の大活躍のあとに負傷があったものの復帰したMF宮澤ひなたを回す可能性が高いだろう。そして、4バック採用時の左サイドハーフとなればMF長谷川唯に中央を向いてプレーさせる選択もあり、より人選の幅は広がりそうだ。

池田監督はメンバー発表会見時、サイドの起用法について「システムによっては攻撃的な選手、守備的な選手、DFがサイドをやるとか、攻撃的なMFがウイングバックをやるようなポリバレント性も考えて、これまで積み上げてきたものを共有しているという部分では対応できるのかなという部分でこのような構成になった」と話した。

中2日の連戦が続くなかでスペインとブラジルの欧州と南米の強豪国が同組に入るなかでは、試合中の駆け引きも含めてチームの表情を変えるポジションが両サイドということになりそうだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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