遠隔操作で24時間連続飛行、P1哨戒機と連携し潜水艦探知も可能…海自が試験運用中の無人機シーガーディアンを公開 鹿屋基地

報道陣に公開された大型無人機(MQ9B)=14日午前、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地

 海上自衛隊は14日、試験運用中の大型無人機シーガーディアン(MQ9B)を鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で報道陣に公開した。2023年から八戸航空基地(青森)で運用を担う自衛官らが、潜水艦探知の能力などを説明。6月に始まった飛行検証で延期が相次いだ理由については「梅雨前線や霧など悪天候を考慮した」と話した。

 公開したMQ9Bは13日午後7時18分、同基地に初着陸した機体。運用担当者らによると、MQ9BはP1哨戒機などが海中に投下したソノブイ(水中聴音機)の無線を機体前方で受信し、潜水艦を探知できる。担当者は「将来的にP1の一部機能を代替する可能性がある」と明かした。

 機体前方に遠隔操縦のための衛星通信アンテナがあり、下部にあるカメラや胴体下のレーダーで監視、基地とデータを即時共有する。翼にはソノブイを投入する機器などを搭載できる。操縦不能となった際、事前に決めた安全な場所に不時着水する機能もある。

 八戸、鹿屋両基地間の飛行が天候不良で3回延期した点について、運用に関わる海自の監督官は「想定より北上した太平洋上の梅雨前線や海霧の影響を考慮した」などと説明。試験運用中は両基地以外に着陸できないため慎重に判断したという。公開した機体は14日午前11時7分、試験運用拠点の八戸基地へ向かった。

 防衛省によると、MQ9Bは米ジェネラル・アトミクス社製。全長11.4メートル、幅24.1メートル、高さ3.7メートル。最大離陸重量は6123キロ。連続24時間の飛行が可能で八戸と鹿屋間を片道7時間ほどで飛行する。

 海自への配備は決まっていない。試験運用で有人機による警戒監視任務の一部を無人機で代替できるか検証する。

海上自衛隊鹿屋航空基地を離陸し上昇する大型無人機シーガーディアン(MQ9B)=14日午前11時8分、鹿屋市
報道関係者に大型無人機シーガーディアン(MQ9B)の説明をする海上自衛官=14日午前、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地

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