盗品70点、収益150万円超か 窃盗・建造物侵入罪で起訴、富山県警が警部補を懲戒免職

富山地検、窃盗・建造物侵入罪で起訴

 富山県警は14日、県警の装備品を盗んだとして5月に窃盗などの疑いで逮捕した警務課付の警部補の男(43)=富山市=が過去10年程度にわたり、廃棄予定の手錠や拳銃入れ、階級章など約70点を盗んだ疑いがあると発表した。このうち約50点をフリマアプリで売却し、150万円以上を得た可能性があるという。県警は同日、男を懲戒免職とし、元上司ら12人を口頭厳重注意などの処分にした。

 富山地検は14日、男を窃盗、建造物侵入の罪で起訴した。起訴状などによると、被告は2023年7月13日から11月11日ごろまでの間、県警本部敷地内の倉庫に3回侵入し、手錠2点と拳銃入れ1点を盗んだとされる。当時は交通指導課に所属していた。

 県警監察官室によると、被告は「組織に迷惑をかけて申し訳ない」と話し、動機について「住宅ローンの返済や生活費などの支払いに困っていた」との趣旨の供述をしているという。21年ごろから経済的に窮していたといい、捜査関係者によると、フリマアプリで盗品の売却を始めたのは22年ごろからとみられる。

 盗品約70点のうち約20点は本部倉庫から盗んだとみられ、半数以上は階級章で、他に拳銃入れや警棒、手錠なども含まれる。残る50点近くは、過去に勤務していた旧富山中央署で盗んだ疑いのある警棒や夜光チョッキなどが大半。本部の車庫から盗んだ備品もあるという。

 盗品は未売却で未廃棄の約20点を押収した。売却品の中にはまだ回収できていない備品もあり、県警は対応を急ぐほか、新たに容疑を固めた分は追送検する方針。

 事件を巡っては、県警が2月に他県警からの情報をきっかけに被害を把握した。捜査関係者によると、被告は当直勤務中の当直責任者が仮眠していた時間帯に、非常用の鍵を入手し、施錠されていた倉庫に侵入していたとみられる。

 監察官室は装備品や当直体制の管理を担う警務課の昨年の幹部2人と、交通指導課時代の上司10人を口頭厳重注意や業務指導とした。

 山崎隆之警務部長は懲戒処分を受け「職員への指導を徹底し、信頼回復に努める」とのコメントを出した。

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