1964年の東京五輪にゆかりがある鳥栖中の「希望の像」が、築60年がたって劣化が目立つようになったため、有志の発案で修復されることになった。賛同者から浄財を募り、鳥栖工業高の生徒が作業を担う。パリ五輪期間中の7月31日まで寄付を呼びかける。
鳥栖中の正門脇に立つ希望の像は、東京五輪の聖火ランナーを同校の陸上部女子が務めたことを記念して生徒会が発案し、「10円募金」で資金を集めた。本体は美術科、台座は技術科、銅板の文字は国語科の教師が、鋳型作りは鳥栖工業高の教師が担当するなど、多くの人の協力を得て制作された。
モデルは現在も市内に住む山中登美子さん(74、旧姓武富)。バレーボール部だったが、美術の先生から突然モデルに指名され、右手を上げてポーズを取り続けた。「先生が父と知り合いだったので、父に頼みやすかったのだろう」と振り返る。
像はコンクリート製で台座を含めて高さ約3メートル。60年を経て劣化が進み、同校の地域学校協働活動推進員の緒方康弘さん(71)が補修できないか周囲と相談。生徒会による募金、鳥栖工業高の生徒による洗浄、補修など「行く先々で協力を申し出てもらった」という。
募金の目標は6万円。補修の材料費に充てるほか、像の説明看板設置を計画している。鳥栖中では6月に生徒会新聞で呼びかけ、7月から募金を始める予定。鳥栖、鳥栖北まちづくり推進センターには6月から募金箱を設置している。
建設の経緯を聞いた3年の生徒会長・安藤蓮さん、福祉委員会長・原口結衣さんは「モデルさんがいたと初めて知った」と話し、リニューアルを楽しみにしている。(樋渡光憲)