来夏の参院長崎選挙区候補 自民・古賀、山下両氏が公認争い 3区補選「不戦敗」…くすぶる不満

 来夏の参院選長崎選挙区の自民党公認候補について、党長崎県連は14日、地域・職域支部からの推薦申請を締め切った。関係者によると、現職の古賀友一郎氏(56)=2期目=と、佐世保市・北松浦郡区選出県議の山下博史氏(49)=2期目=が推薦され、2人の公認争いとなった。背景には、4月の衆院長崎3区補選を「不戦敗」とした対応や現職の政治活動への不満があるようだ。
 先月27日、県連執行部は会見を開き、参院選の公認候補の選考手続きを始めると発表した。前田哲也幹事長は党派閥の政治資金問題に触れ「信頼回復に向けて透明性を高める」と説明。「事実上の公募」と述べ「党本部で参院選の現職優先はうたっていない」と付け加えた。
 この会見に、ある自民関係者は首をかしげる。衆院選は解散に左右されるため「現職優先」とされる。ただ、参院選でも現職に意欲があれば、実績を重視して粛々と選考するケースが多い。「公募はもめ事になりやすい。現職の資質を問う気か」とつぶやく。
 その背景にあるとみるのが先の3区補選。県連会長の古賀氏は、党本部幹部と候補擁立の可否を協議した。茂木敏充党幹事長は「戦う準備」を当初指示したが、古賀氏は慎重姿勢を崩さず「できればやりたくない」と発言。政治資金問題の責任や区割り変更で3区が「消滅」することを理由に、県内の国政選挙で初めて候補擁立を見送った。
 一方、野党の攻勢を受ける3区の地域支部は主戦論が強かった。県連執行部は各支部を回り、“おわび行脚”をしたが、古賀氏は同行せず「むしろ不信を買った」(地域支部関係者)。
 公認争いは「派閥抗争」との見方もある。県連は加藤寛治元衆院議員らに近いグループと、金子原二郎元参院議員や谷川弥一元衆院議員の流れをくむグループに分けられることがある。古賀氏は加藤氏側と目されており、山下氏は「対抗勢力」ともささやかれる。
 ただ、これまでの山下氏の行動は、必ずしもこの区分けに当てはまらない。グループが対立した保守分裂の2022年知事選は「中立」。昨秋の衆院長崎4区補選に絡んだ公認候補者選びでは、金子氏の長男で初当選した金子容三衆院議員と争った。
 古賀、山下両氏が各支部に提出した推薦願に対し、主要な長崎、佐世保両支部では古賀氏に「地域回りや国政報告会をしていない」といった政治活動への不満が相次ぎ、両氏を推薦する形を取った。3区の大村や離島などの複数支部は山下氏を単独で推した。
 一方、古賀氏の地元の諫早や、加藤氏の牙城とされる島原などでは古賀氏への支持が目立つ。「問題や不祥事は起こしていない。現職を代える理由が見当たらない」「全県区の戦いは経験を優先するべきだ」と不快感を示す関係者もいる。

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