381系ラストラン “撮り鉄”沿線に押し寄せる

最後の雄姿をカメラに収める鉄道愛好家ら=14日、日野町下榎

 「緑やくも色」「国鉄色」の381系がラストランとなった14日、JR伯備線沿線には多くの鉄道ファンが押し寄せた。最後を飾るにふさわしい快晴の下、自然豊かな伯耆路を疾走する往年の国鉄車両を、熱心にカメラに収めていた。

 “撮り鉄”の聖地となっている根雨-黒坂間(通称ネウクロ)。日野町下榎では、最後の力走を狙おうと早朝から大勢の人が三脚を並べた。名古屋市北区の長島健一さん(63)は、旅行を兼ね妻(60)と一緒に撮影に来た。「国内最後の国鉄型特急電車で、振り子ならではの裾を絞ったスタイルが魅力。無くなってしまうのは寂しい」と引退を惜しみ、撮影後も列車が見えなくなるまで目で追った。

 東京都の銀行員、多田高宏さん(30)は長男の成宏ちゃん(3)と一緒に「やくも」で訪れ、親子でカメラを向けた。沿線では一部の撮り鉄のマナーが問題となったが、高宏さんは「ひとくくりに見られてしまうのが残念。ごみを拾うなど最低限のマナーを守って撮影を続けたい」と話した。

 安来市荒島町の福田一寿さん(88)は今年だけで10回以上、撮影に訪れた。日野町安原で国鉄色の最後を見送り、「新型車両も魅力だと思うが寂しさは拭えない。一つの時代が終わったと感じる」と別れを惜しんだ。

© 株式会社新日本海新聞社