【ガーデニング】育てて楽しいハーブ【コリアンダー】の栽培方法と活用アイデア3選

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【コリアンダー】です。

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個性的な香りが特徴の【コリアンダー】

香菜(シャンツァイ)、パクチーとも呼ばれますが、ハーブでの呼び名はコリアンダーが一般的。
好き嫌いがはっきりと分かれる個性的な香りが特徴で、好きになったらもう手離せません。

別名/コエンドロ(和名)、シャンツァイ、パクチー
科名/セリ科
性質/一年草
草丈/50~100㎝

料理に欠かせない深い香りと味わい

タイ料理や中国料理で人気のコリアンダー。桐原春子さんによると栽培の歴史は古く、「原産地は地中海沿岸で、古代エジプト、中国、インドでも何千年も前から栽培されてきました。日本では900年代の『延喜式』という書物に、生魚の風味づけとしてコスイの名で登場します」。

コリアンダーは、ギリシャ語のコリス(カメムシ)とアノン(アニスの実)が合わさったもので、独特の香りが最大の特徴。葉茎を刻んで薬味に、香りが強い根の部分は、つぶしてスープの香りづけなどに用います。

「特有の香りは好みが分かれるところですが、私は大好きで料理用ハーブに欠かせません。根つきのコリアンダーをセリ鍋のように、豚肉や豆腐とともに用いたりします。香りだけでなく味もよくて、さっと湯通しして食べると本当においしい。『アラビアンナイト』では媚薬として登場することから、滋養強壮の効果があるのでは。最近ではデトックス効果に優れるという報告もあります」

実(シード)は半球状のものが2つ合わさった形で、葉とは異なる、さわやかさとかすかな甘みが混じり合う香り。

「実はピクルス、お菓子、リキュールなどの香りづけに使ったり、クラフトにも使えます。繊細な葉や花はブーケに使えますが、贈る場合には相手の香りの好みを確認しましょう」

タネ

初心者も育てやすく満足度は大

栽培は秋か春にタネをまくか、ほぼ一年中出回る苗を植えます。

「秋まきは冬を越して株ががっしりと育つので、葉をたくさん使いたい場合におすすめです。コリアンダーは丈夫で葉もよく茂って、花もきれい。育てる満足度の高いハーブといえるでしょう」

鉢は日当たりのよいところに置いて

鉢に植え込んでまだ日が浅いコリアンダーの苗。細かい切れ込みが入った若葉はふわふわとして可愛い!

キッチンの明るい窓辺に置けば、必要なときに葉や枝をちょっとつまめて便利です。日当たりが好きなので、ときどき外へ出して日光にたっぷり当てることを忘れずに。

茎が伸びてくると糸状の葉がつき、白や薄ピンクの繊細な風情の花が咲きます。

活用アイデア①② デュカライス&コリアンダービネガー

デュカライスとは、中東や北アフリカで昔から食べられていた、木の実を使った混ぜご飯のこと。砕いたナッツ類とコリアンダーシードなどのスパイスをミックスすることでざくざくした食感とエスニックな風味が楽しめ、クセになるおいしさです。

さらに帆立を混ぜると相性のよさに驚くはず。大皿に盛りつければパーティー料理にもぴったりです。

コリアンダービネガーはマリネ液やドレッシングに使ってみて。実を使っているので、葉の強い香りとは違うやさしい香りです。

デュカライスの作り方(2人分)

❶無塩のミックスナッツ1カップから飾り用を少し取り分ける。

❷残りのミックスナッツは、フードプロセッサーなどで粗めにくだき、いり白ごま大さじ2、コリアンダーシードパウダー大さじ1、クミンシードパウダー小さじ1と混ぜる。

❸フライパンにオリーブ油大さじ2を熱し、②を弱火で炒める。塩小さじ1、こしょう少々で味をととのえる。

❹ご飯360gと③を混ぜて器に盛り、汁けをきった帆立貝柱水煮½缶分と、①をのせる。まわりに好みの野菜やハーブ類(ゆでたカリフラワー・グリーンアスパラガス・スナップえんどう、トマト、レモン、コリアンダーの葉・根など)を適宜のせる。

ビネガーの作り方(作りやすい分量)

清潔な瓶に米酢200mlを注ぎ、コリアンダーシード大さじ2、ベイの葉1枚、赤唐辛子1本を入れて蓋をする。約2週間後から使用可能。

活用アイデア③ コリアンダーシードのコラージュ

丸くて可愛いコリアンダーの実を使ったコラージュを、額に入れて飾りました。ポストカード大の額を使っていますが、大きさは自由です。

紙に鉛筆で薄く10円玉くらいの円を描き、上からなぞるように接着剤を塗り、実を指で1個ずつ置いていきます。実は大小があるのでバランスをよく見て。

好みの形の木の根や枝に色糸をぐるぐると巻いたものとトウガラシも貼りつけ、余白にコリアンダーの学名などを書き、色鉛筆でランダムに色を塗って仕上げます。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2021年5月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年9月24日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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