【24年J2前半戦ベストイレブン】3トップはゴール量産の長崎・清水・千葉の点取り屋 山口の左SBには大注目【FW・監督・控え編】

J1昇格を目指す千葉でゴールを量産するFW小森飛絢  撮影/原壮史

J2リーグは6月第1週の試合で、前半戦の19試合を終えた。毎シーズン恒例の前半戦ベストイレブンを控えメンバー、監督とともに選定した。

選考基準として、13試合以上にスタメン出場していることを条件とした。出場試合数や出場時間が似通っている選手が同じポジションにいる場合は、チームの成績が上位の選手をピックアップする。

頭を悩ませたのはシステムだ。前半戦を首位で折り返した清水エスパルスは、4-2-3-1を主戦術に3バックを併用する。2位ターンのV・ファーレン長崎は4-3-3を、3位の横浜FCは3-4-2-1を採用している。4位のベガルタ仙台、5位のレノファ山口FCは4-4-2で、6位のファジアーノ岡山は3-4-2-1だ。どのシステムにしても、うまく当てはまらない選手が出てきてしまうのだ。

そのうえで、3バックを採用した。理由のひとつは、4バックの右サイドバックに決定的な人材を見つけることができなかったことだ。同時に、FWに選ぶべき選手が多いことから、システムは3-4-3とした。(#FW・監督・サブ編)

FW エジガル・ジュニオ(V・ファーレン長崎)

前半戦19試合で11ゴールを叩き出し、得点ランキング単独首位を走る。PKによる得点はなく、ゴール前での圧倒的な決定力を見せつけている。174センチのサイズでヘディングシュートを5本決めているのは、ポジショニングの良さを表わしているだろう。昨シーズンJ2得点王のフアンマ・デルガドを控えにおけるのは、彼が好調を維持しているからだ。

FW 北川航也(清水エスパルス)

今シーズンは背番号をエースナンバーの「23」に変更し、秋葉忠宏監督にキャプテンに指名された。4-2-3-1の1トップに固定され、得点ランク2位タイの9ゴールをゲット。勝利につながる得点も多い。復活を遂げたクラブ生え抜きFWが、攻撃を力強くリードしている。

FW 小森飛絢(ジェフユナイテッド千葉)

大卒1年目で13得点を決めた昨シーズンに続いて、今シーズンもチームの得点源として機能。北川航也、谷村海那と並ぶ2位タイの9得点で前半戦を折り返した。得点パターンが多彩なのに加えて、フィニッシュの精度が高い。密集でも素早くシュート態勢を整え、ネットを揺らして見せる。前半戦7位からの巻き返しをはかる千葉を牽引するのは彼だ。

監督 下平隆宏(V・ファーレン長崎)

首位・清水の秋葉忠宏監督、いわきFCを進化させている田村雄三監督、昨シーズン20位のレノファ山口FCを5位でターンさせた志垣良監督らがインパクトを残したなかで、クラブ記録の16戦負けなし(現在も継続中)を記録した下平監督を選んだ。外国人選手の「個」の力を引き出しているのはもちろん、守備もしっかりと整備されている。また、ともに20歳のDF田中隼人、MF笠柳翼をスタメンに定着させるなど、若い人材も登用している。

■新保海鈴は4バックなら控えではなくベストイレブン

J2前半戦のベストイレブンから、控えメンバーの7人を発表する。候補者が複数いるポジションも多く、違う選手を選ぶべきとの声もあるかもしれない。それでも、ここに選んだ選手たちが、チームの勝利に貢献したのは間違いないはずだ。

GK 市川暉記(横浜FC)

全19試合にフルタイム出場。リーグ最多となる10試合でクリーンシートを達成し、ここまで失点11はリーグ最少だ。ハイクロスの処理、シュートストップともに安定しており、3バックと連携して堅守を構築している。

CB 田上大地(ファジアーノ岡山)

アルビレックス新潟から加入し、開幕から3バック中央のポジションを確保。前半戦の岡山は攻撃陣にケガ人が続出したこともあり、勝ち切れない試合も多かった。そのなかで、田上やGKスベンド・ブローダーセンを中心とした守備陣が失点を1試合1点以下に抑えることに力を尽くし、J1昇格プレーオフ圏内の6位での折り返しを実現させた。

左SB 新保海鈴(レノファ山口FC)

ベストイレブンを4バックで選ぶなら、左SBは文句なしにこの男だ。攻撃時はサイドハーフやウイングのようにプレーし、リーグ2位タイの7アシストを記録。チームの5位ターンを力強く後押しした。ディフェンスの意識もしっかりとしており、攻守にわたって存在感を見せることができる。

■仙台の前線で軸となっている中島

MF 大西悠介(いわきFC)

3-1-4-2のシステムでアンカーを担い、広範なエリアをカバーしながら攻守にわたってボールに関わっていく。大卒1年目の選手とは思えない存在感で、センターラインを強固にしている。

MF 石浦大雅(愛媛FC)

J1復帰1シーズン目を10位で折り返したチームから、4-2-3-1のトップ下を担う石浦を選出。アウェイのベガルタ仙台戦で途中出場から逆転ヘッド、ホームのヴァンフォーレ甲府戦でも逆転の左足シュートをゲット。愛媛が15年以来のひとケタ順位へ食い込むには、後半戦も彼の活躍が不可欠だ。

FW 谷村海那(いわきFC)

在籍5年目の今シーズンは、前半戦だけでキャリアハイの9得点。ゴール前の決定的なエリアへもぐり込み、ワンタッチでゴールを決めている。デザインされたセットプレーからもネットを揺らしており、得点のバリエーションが多いのも特徴だ。

FW 中島元彦(ベガルタ仙台)

森山佳郎監督が2トップの組合せを模索したなかで、前半戦の17試合に先発して前線の軸となった。ロースコアの戦いでしぶとく勝点をつかんでいく仙台で、チームトップの6得点を記録している。セットプレーのキッカーとしても頼もしい。

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