島根最大の無人島で、神社に続く山道の入り口が漂着ごみでいっぱいに 「果てしない作業だった」住民が奮起し島へ渡りごみを回収 島根県海士町・松島

松島で大量の漂着物を回収する参加者たち=島根県海士町豊田

 島根県最大の無人島となる松島(島根県海士町豊田)で14日、有志による漂着ごみの回収が初めて行われた。島内にある神社に続く山道の入り口が、ごみで埋め尽くされている現状に住民らが奮起。15人が足場の悪い岩場の上で大量のごみをリレーして渡船に運んだ。

 松島は豊田漁港から約3キロ東の沖合に浮かび、面積は約100ヘクタール。近年は漁業者と釣り人以外は上陸していなかった。3月に山深くにある月の輪神社への参道を調べる試みがあり、参加した同町豊田の水産加工業原喜子さん(46)が、大量の漂着ごみの上を歩かなければ進めないことに心を痛めた。

 海士町で職員やボランティアの研修を実施する国際協力機構(JICA)が、4月に採用した職員の研修をすることになり、原さんが漂着ごみの回収を提案。併せて町民に参加を呼びかけた。

 14日は15人が朝に豊田漁港を渡船で出港。島の東側にある入り江にたまったごみを集めた。中国語やハングルのプラスチックごみや漁具が目立ち、3時間で90リットル入りのポリ袋90袋分を集めた。渡船が着岸できる岩まで約100メートルを15人が間隔を空けて並び、重たいごみをリレーして運んだ。

 原さんは「果てしない作業だった。これをきっかけに動き出せばいい」と話し、神社参拝を観光ルートにする計画を描く。JICA新入職員の吉崎達矢さん(25)は「タイのヤオヤイ島でごみ回収をした経験があるが、松島のごみが圧倒的に多かった」と驚いていた。

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